酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
山田哲人、金子侑司、周東佑京。
盗塁トレンドは「失敗せず成功」。
posted2019/12/23 08:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
何度か触れているが、MLBの野球に大きな影響を与えているデータ指標「セイバーメトリクス」では、「盗塁」の評価は低い。盗塁は成功すれば次の塁を奪うことができるが、失敗すれば走者を失うだけでなくアウトカウントも1つ増える。「盗塁死」のダメージは大きい、と捉えられている。
セイバーメトリクスがMLBに普及し始めた頃の記録において、盗塁企図数(盗塁を仕掛けた数)を見れば、その球団の「セイバー浸透度」が一目瞭然だった。
<2000年、MLB30球団の盗塁企図数上位と下位5球団>
〇上位5球団
1 マーリンズ
223(168盗塁55盗塁死)
2 ブレーブス
204(148盗塁56盗塁死)
3 ロッキーズ
192(131盗塁61盗塁死)
4 パドレス
184(131盗塁53盗塁死)
5 オリオールズ
191(126盗塁65盗塁死)
〇下位5球団
26 レンジャーズ
116(69盗塁47盗塁死)
27 メッツ
112(66盗塁46盗塁死)
28 エクスポズ
106(58盗塁48盗塁死)
29 レッドソックス
73(43盗塁30盗塁死)
30 アスレチックス
55(40盗塁15盗塁死)
マネーボールだと盗塁はしなかったが。
「マネーボール」で有名になったビリー・ビーン率いるアスレチックスが最下位、次いでセイバーメトリクスを導入したレッドソックスがその上にある。
ただ、セイバーの導入が一巡して以降は、話はそれほど単純ではなくなった。盗塁成功率の高い選手は走ってもよろしい、ということになりつつあるのだ。
とはいえ今では盗塁は「成功した数」と同じくらい「失敗した数」が重要な指標となる。盗塁成功率で言えば4回走って3回成功、成功率.750はほしいところだ。