酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
山田哲人、金子侑司、周東佑京。
盗塁トレンドは「失敗せず成功」。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/12/23 08:00
日本シリーズや侍ジャパンでの大活躍が話題になった周東佑京。ミスしない足のスペシャリストほど頼もしいものはない。
気になるのはカープ全体の数字。
盗塁収支の観点で見たとき、気になるのが広島というチームだ。
2018年の日本シリーズで、甲斐拓也の強肩の前にアウトの山を築いても走り続けたのが象徴的だったが、広島は「失敗しても走り続ける」タイプである。
ここ4年の広島の盗塁成績は、以下の通り。カッコ内はリーグ順位だ。
2016年
118盗塁(1)52盗塁死(1)
収支66(1)成功率.694(4)
2017年
112盗塁(1)40盗塁死(2)
収支72(1)成功率.737(1)
2018年
95盗塁(1)49盗塁死(1)
収支46(2)成功率.660(3)
2019年
81盗塁(3)43盗塁死(1)
収支38(4)成功率.653(4)
今季は盗塁数が落ち込んだ分……。
盗塁数はリーグ屈指の広島だが、盗塁死も多い。
要するにレギュラーシーズンでもアウトになるのを恐れずにどんどん走っていたのだ。昨年までは、盗塁数がリーグNo.1だったこともあり盗塁死は目につかなかった面がある。しかし今季は盗塁数が落ち込んだために、収支も悪化した。
盗塁死が勝敗に与えるダメージが大きいことを考えれば、これがチーム成績悪化の一因といえる。
リードオフマンだった田中広輔は、盗塁王は2017年の1回だが、最多盗塁死は2016~18年まで3年連続。通算の走塁成績は119盗塁58盗塁死、成功率は.672である。ちなみに菊池涼介は107盗塁47盗塁死の.695。最近の基準で言えば、やや低い部類となる。