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選考基準は、デカいか、速いか。
「日本ラグビーは君に注目している」
 

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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posted2019/12/21 08:00

選考基準は、デカいか、速いか。「日本ラグビーは君に注目している」<Number Web> photograph by Masataka Tara

8月に菅平で行われた「ビッグマン&ファストマン キャンプ」の様子。今回はどんな“一芸”が見つかるか。

可能性を秘める一芸を。

 高校ラグビー界には、有能な選手をすくい上げる選抜システムはある。

 全国9ブロック(北海道、東北、関東、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)でトライアウト合宿を行い、優秀なタレントを発掘しているのだ。

 そこで選抜された選手はブロック代表として夏の「コベルコカップ」を戦う。そこでさらに選抜された優秀な選手は、U17日本代表、高校日本代表へと進む。

 全国を9ブロックに分けて段階的に選抜するシステムは画期的だったが、今年で15年目を迎えたコベルコカップは、いまや世代別代表への階段として選手、指導者にとって重要な大会になっている。

 となれば、重宝されるのは経験豊富な実力者たち。高校でラグビーを始めたばかりの子たちは、どうしても見劣りしてしまう。地区ブロックの選考会で、振り落とされていく。

「ただサイズやスピードなど一芸を持っている選手は、しばしば“円の右下”のような成長曲線を描きます。高校の段階ではまだ低空飛行で、ラグビー経験の長い選手には敵いません。でも、その低空の段階で評価されてしまい、ラグビーを辞めてしまう子たちがいるんです」

ジャパン木津は消防士志望だった。

 ワールドカップ日本大会の日本代表メンバーであるPR木津悠輔は、ラグビーでは無名校にあたる大分・由布高校の出身。彼は当初、卒業後に消防士になろうとしていた。

 日本ラグビー界にとって幸運なことに、木津は花園予選敗退をきっかけに翻意した。ラグビーを続けることを決意し、天理大学への道が拓けたのだ。

 ただ日本代表の素質がありながら、ラグビーの道から逸れた者はこれまでもいたのではないか。事実、野澤氏には、注目していた有望選手が高校卒業後に就職したと聞き、愕然とした経験がある。

 どうにかして、未完成だが有望な彼らに「日本ラグビーは君に注目している」「君には可能性がある」と伝えられないか。そうした想いから各方面の助力を得て、ようやく開催に漕ぎ着けたのが昨年12月の第1回だった。

 第1回から成果があった。参加者の「7、8割」(野澤氏)がラグビー強豪大学へ進学したのだ。

 明大中野八王子高校のLO松本光貴にいたっては、なんと飛び級で大学生が多数を占めるU20代表に選出。原石がダイヤになりつつある。

【次ページ】 強豪校でなくてもいい。

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