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FC今治、外資証券出身社長に聞く。
地元の少子高齢化で運営どうする?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/12/18 18:00
ゴールドマン・サックスを退社後、林業などの勉強もしたという矢野社長。J2、J1の基準を満たすスタジアム建設など、大仕事が控えている。
数字にあらわせない効果。
――町内会では手が足りない清掃作業など、依頼を受けて賛同できるものに協力する「孫の手活動」など、地域に溶け込もうとしてきたことも、集客につながっているという実感はありませんか?
「直接、数字にあらわせない効果はあると感じています。Jリーグの村井(満)チェアマンから『地域創生の新しいカタチを生む可能性を秘めているクラブだと思う』と仰っていただいことは、我々にとって凄く励みになりました。
孫の手活動は、主にコーチングスタッフや育成組織の選手たちがおじいちゃん、おばあちゃんのところに行って手伝うもので、凄く喜んでもらえています。
また、今治の自然の魅力を活かした野外学校などもやっています。大学生を集めてワークショップを行なうバリチャレンジユニバーシティもあります。
FC今治の企業理念である『次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する』に合致する活動をやってきたつもりです。
最初の2年間くらいは(受け入れられなくて)大変だなと思う時期もありましたけど、次第に受け入れられてきたかなという実感を持っています。
自治会の活動に選手が顔を出すだけでも、レストランで外食をして『FC今治の選手です』って言うだけでも、『応援してあげようか』ってなってきているのかな、と。応援したいと地道に口コミで広まっていけばいいですよね」
生きがいにしている高齢者も。
――スタジアムにのぼる階段は急勾配で大人でも結構きつい。おばあちゃんが手すりをつかんで、ゆっくりと上がっていた姿が印象的でした。
「家族と一緒に試合を見にいきたいと、生きがいにしてくれているおじいちゃん、おばあちゃんもいます。試合に合わせて体調をしっかり管理されているようですよ。やっぱり感じるのはスポーツの持つ力。
サッカーを観に行くということだけではなく、FC今治を自分の生活に取り込んでいるという方が段々と増えてきているようには思いますね」