サムライブルーの原材料BACK NUMBER
FC今治、駒野友一×橋本英郎(下)。
単身赴任の悲哀とお互いのありがたさ。
posted2019/12/17 19:05
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
40歳の橋本英郎と、38歳の駒野友一。
キャリア終盤に入って愛媛の今治にやって来たのは、やはりFC今治の岡田武史会長の存在が外せない。橋本にとって岡田は大阪有数の進学校として知られる天王寺高の大先輩、駒野にとっては日本代表で指導を受けてきた恩師の1人。
対談の後編はその岡田会長とのエピソードから大変な単身赴任生活まで“ぶっちゃけトーク”は続く――。
冗談で「40歳になったらお願いします」。
――橋本さんはJ2の東京ヴェルディから、駒野さんは同じくJ2のアビスパ福岡からの移籍になりました。
橋本 僕は以前、セレッソ大阪でプレーしていたときに宮崎キャンプで岡田さんに会って、「お前いつになったら今治に来るの?」って言われて、冗談で「じゃあ40歳になったらお願いします」と伝えていました。
ヴェルディでもなかなか試合に出られていなかったし、実際40歳になる年に、代理人を通じてお話をいただいた。だからまあ、そういう流れやったんかなと(笑)。
駒野 僕はアビスパの最終戦が終わって、(翌週に)サンフレッチェの森崎和幸の引退セレモニーがあるんで広島に行って……広島駅で小野(剛)さんから電話が掛かってきて「力を貸してくれないか」と。電話を切ったら今度は木村(孝洋)さんからも同じような内容で。
――小野さんとは広島やアンダーカテゴリーの代表でも指導を受けてきて、のちに今治監督就任が発表されます(12月7日に退任)。木村さんも広島ユース時代の監督。現在はFC今治トップチームグループのグループ長。いろんな縁があったわけですね。
駒野 そうなんです。そして岡田さんからも「J3昇格の力になってほしい」って連絡が来て、妻にも「恩返しのために一緒にやったほうがいいんじゃないの」と言われて、今治でプレーすることを決断したんです。
橋本 俺は岡田さんから直接「力を貸してくれ」なんて言われてない。何か、扱いの差を感じるなあ(笑)。