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200億円の補強資金よりも頼もしい、
ランパードのチェルシー育成哲学。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2019/12/17 11:40

200億円の補強資金よりも頼もしい、ランパードのチェルシー育成哲学。<Number Web> photograph by Getty Images

エイブラハムらの成長を促したランパード監督。新生チェルシーの長期プランは実を結ぶのだろうか。

200億円より頼もしいランパード語録。

 エイブラハムは、16節までに11得点を挙げているだけでなく、巧みな連係と献身的なランで仲間を助けている。

 同節終了時点で5ゴールのマウントら、2列目からゴール前に駆け上がるチームメイトたちにチャンスを与えていることを考えれば、33歳のジルーに出番が少なくても仕方はない。

 ただ、開幕前時点でレギュラー格と思われたベテランのフランス代表が、来夏のユーロ2020前に試合に出られる環境を求めるのは当然。ジルーに興味を示しているリヨンから、ユース時代を含む4年間をフルハムでプレーした23歳のデンベレを呼び戻すのが、最もスムーズな策となりそうだ。

 左SBだけの獲得に終われば、クラブ売却を考えているとも言われるロマン・アブラモビッチオーナーの「買い渋り」と受け取られるかもしれない。チェルシーには、10年前にも実質的な即戦力購入がデコ、ボジングワだけだったシーズンがある。それに先立つ5シーズンに、大量40名の即戦力を買い入れている反動だった。

 だが今季は過去ではなく、未来を意識したが故の「必要最低限」になる。その際には消極的ではなく長期視野のチーム作りを進める、むしろ積極的な姿勢の表われと理解したい。

「補強が可能になったからと言って、若いチームに特別な感情を抱いてくれているファンががっかりするようなことにはならない。若手が蔑ろにされることなどあり得ない。これから一軍を目指す連中にも努力を重ねてアピールさえできればチャンスが与えられる。それが、監督としての自分の在り方だから」

 その意味でもランパードの言葉は、200億円を超す補強予算よりも頼もしいのだ。
 

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