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エントリーで1万m29分切りが92名!
箱根駅伝を「選手名鑑」で楽しむ。
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2019/12/12 20:30
Number992号「箱根駅伝 最強の襷」の別冊付録、「箱根駅伝2020選手名鑑」。327名の選手を紹介している。
大会の増加と、シューズの影響も。
では、なぜこんなにも記録が出るようになったのか。すぐに考えられるのは以下の4つの理由だ。
・高校生のレベル向上
・留学生を擁するチームの増加
・夏のホクレンディスタンス、秋以降の日体大記録会などタイムを狙う機会の増加
・シューズ「ナイキヴェイパーフライ」の登場
トラックで才能を発揮した彼らが、ロードでも実力通りに走れるのか。名鑑に記載された自己ベストタイムと実際の走りのギャップ(いい意味でも悪い意味でも)に注目してほしい。
メンバー上位10名のタイムを見ると。
もうひとつのポイントである「勢力図の見え方」の変化について説明したい。
今季の箱根駅伝は、連覇を狙う東海大の「1強」とも言われるが、その東海大に、青学大、東洋大、駒大、それに出雲で学生三大駅伝初優勝を飾った國學院大を加えた「5強」という見方が大勢だ。
事実、10日の記者会見の席上では、戦略家として知られる帝京大・中野孝行監督が「5強といわれているが、その1角だけでも崩したい」と発言していた。
だが、エントリーメンバー内上位10名の「1万m平均タイム」順に大学を並べてみると以下のようになる(タイムの後ろの数字はシード校が前回の本選の順位、「予」は今年10月の予選会の順位)。
1位 青山学院大学 28分45秒37 (2)
2位 東海大学 28分50秒55 (1)
3位 明治大学 28分50秒73 予(4)
4位 駒澤大学 28分51秒37 (4)
5位 帝京大学 28分52秒21 (5)
6位 順天堂大学 28分56秒12 (8)
7位 中央学院大学 28分56秒23 (10)
8位 東京国際大学 28分59秒00 予(1)
9位 日本大学 28分59秒84 予(7)
10位 神奈川大学 29分02秒97 予(2)
11位 日本体育大学 29分03秒14 予(3)
12位 創価大学 29分03秒60 予(5)
13位 東洋大学 29分03秒76 (3)
14位 國學院大學 29分05秒98 (7)
15位 中央大学 29分07秒02 予(10)
16位 早稲田大学 29分07秒73 予(9)
17位 拓殖大学 29分17秒26 (9)
18位 法政大学 29分23秒96 (6)
19位 国士舘大学 29分32秒73 予(8)
20位 筑波大学 29分40秒48 予(6)
意外なところでは、「5強」といわれる大学のうち箱根駅伝で11年連続3位以内を誇る東洋大と、今季躍進する國學院大がこのタイム順では13、14位と下位に沈んだことだろう。そして予選会を通過した4大学が上位に入っている。
また「5強」にはカウントされていないものの、留学生や飛びぬけたエースのいない帝京大や順大が上位に食い込んできており、チームの底上げと調子の良さが伝わりやすいランキングになっている。順大の長門俊介監督は「(順大史上)過去最高のタイムになった」と手ごたえを感じているようだ。
こういったタイムのランキングを踏まえておくと、前評判や前年までの実績とは違った視点で、お正月の箱根観戦が楽しめるだろう。