欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
本田圭佑が欧州に帰ってきたが……。
「競争するなら意義を感じる場所で」
posted2019/12/11 11:40
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Getty Images
本田圭佑が欧州に帰ってきた。
11月6日、CSKAモスクワ時代の恩師レオニード・スルツキの指揮するオランダのフィテッセへの入団が発表された。2連敗で5位に順位を落としていたフィテッセをどうにか浮上させるため、スルツキが最終手段として切ったカードだった。
ただ、移籍決定直後のインターナショナルウィーク、チームにフィットするには最高の2週間に本田はチームを離れ、香港にいた。実質的な監督を務めるカンボジア代表に同行し、W杯アジア2次予選香港戦を指揮していたのだ。
おそらくはスケジュール的にも織り込み済みだっただろう。だがもしもこの期間を監督としてでなく選手として過ごしていたら、つまりフィテッセに残りリーグ戦の再開に備えていたら、今頃はまた違った結果が待っていた可能性はないだろうかと考えてしまう。
ともかく、再開後の2戦で本田は連続で先発出場し、2連敗。
スルツキは辞任し自身のスタッフたちと共にフィテッセを離れた。下部組織から繰り上がったジョゼフ・オースティィング氏が暫定監督を務めて迎えた第16節はホームでフェイエノールトと引き分け。本田は81分からの途中出場だった。
「自分はもう若い選手じゃないから」
試合後のミックスゾーンで、まずはオランダのテレビ局の取材に英語で10分近く応対した。オランダメディアの質問はストレートで、回答もそうだった。その中でこんなやりとりがあった。
――不安はないか。
「どういう意味? どのような不安のことを言っているのか」
――(監督が替わり)出番が減ることについて。
「不安には思わない。なぜなら自分はもう若い選手じゃないから。外国で100試合以上プレーし、W杯は3度出場し、チャンピオンズリーグも経験した。そして今は来年の五輪を目指している。自分はチームでいいプレーをしたい。幸せでありたい。チームの一員として30分ではなく、90分間サッカーを楽しみたい」
自分には自信と経験があるということを、具体的に主張していた。結局試合に出るのは自分だという、強いプライドも感じさせる。