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本田圭佑が欧州に帰ってきたが……。
「競争するなら意義を感じる場所で」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/12/11 11:40
「ここにいる意味が半減した」と明言する本田圭佑は、スポーツ選手の定型から大きくはみ出している。それだけに魅力的だ。
「引退にも死にも向かっている」
「彼が出て行く前の2試合は、責任を託され期待に応えられなかった。彼は出て行った、じゃ僕はこのまま居座るのか、っていうところの自分のモチベーションです。
自分のプライドみたいなところは、ちょっと頭の中を整理しないといけないなと思います。(責任を感じている?)もちろんです。はい。申し訳ないなと思っていますし」
スルツキを助けられなかったという現状を受け止め、フィテッセのために何ができるのか。自身のモチベーションを立て直し、スルツキのためでなくフィテッセのために戦う日々が始まる……、ということでもないと言う。
「まあ立て直し、うーん、立て直す必要があるのどうかも含めて(考えないといけない)。(ポジションを)競争すること自体は全然問題ないんですけど、競争する時間をどう思うか。そう、引退に向かっているし、当然ながら死にも向かっているわけなんで、10年前と今は全然価値観が違って人生を生きているのでね、1日の重みも違う」
確かに、現役選手としての時間は限られている。自分のいるべき場所がここでないと思えば動くことを悩んでいる時間はない。
スルツキのいないフィテッセで。
「どうせ競争するんなら自分がもっと意義を感じる場所で競争したいわけですから、それがどんな逆境であれ、うん、そこにプライドを持っているので、全然難しいのはいいんですけど、ミランみたいなところで勝負するのは、3年ぐらい(試合に出られるか出られないかの競争があっても)全然いいんですけど、ここでそれをやるのかどうか」
経験と自信とプライドはある。だが、経験と引き換えに選手生命はどんどん短くなる。時間との戦いも始まっている中で、どこでどんな勝負をしていくのか。また、スルツキを助けられなかったこと、スルツキのいないフィテッセにいるべきなのかそうでないのか。
欧州の、勝負の舞台に帰ってきたと単純に喜んでばかりいられない。次の動きに向けて、本田の胸には様々な思いがよぎっているようだった。