欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
本田圭佑が欧州に帰ってきたが……。
「競争するなら意義を感じる場所で」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2019/12/11 11:40
「ここにいる意味が半減した」と明言する本田圭佑は、スポーツ選手の定型から大きくはみ出している。それだけに魅力的だ。
質問者の望む答えを探るのではなく。
その後、我々日本人メディアに応対した。思っていることがぽんぽんと口をついて出てくる。
――(5連敗後の)ドローはポジティブに捉えられる?
「何もかもポジティブに捉えられるし、一方で課題から目を背けてはいけないし、それは前回も今日も変わらない」
――0-0の微妙な状況で勝ちか、このままかという時間帯に投入されたが。
「勝ちに行くでしょ、当然でしょ。それ以外の選択肢はないでしょ、ホームで戦ってて。ってサポーターなら思います」
――選手としては?
「それに乗っからないと、選手じゃないでしょ?」
喧嘩腰とまではいかないが、質問者の望んでいそうな答えを“忖度”するのではなく自分の主張を言葉にする。だからこそ、コメントはありきたりではなくて面白い。
「ここにいる意味が半減している」
スルツキ辞任後に関して不安はないとオランダメディアには語ったが、もっと細かい感情について、言葉にしていく。
「(呼んでくれたスルツキがいなくなったことは)全然リスクだと思っていないですけど、問題は僕のモチベーション。(スルツキ)監督がいなくなったことで、ここにいる意味がだいぶ半減しているので。
その辺はここに来た時にも言いましたけど、当然ながら冬の移籍も頭の中にいれているし、しっかりそこは考えたいなと思います。試合に出る出ないっていうところの問題ではないと思います」
通常コーチングスタッフというのは、監督の下でひとつのチームとして動く。スルツキの辞任に伴いベレズツキ兄弟を始めロシア人コーチたちもともにクラブを去った。
本田を獲得したスルツキからしても、はたから見ても、CSKA時代からの付き合いのある本田は、その“チームスルツキ”の一員だ。
だが、コーチングスタッフではなく現役選手の本田は、フィテッセに残った。呼んでくれた人たちは去った。状況も本田の心境も複雑なようだ。説明を加える。