酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ロッテのホームランラグーン1年目、
“本塁打赤字”の解消は別の理由も!
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2019/12/07 11:50
ZOZOマリンで数多くの“寿司を握る”レアード。ホームランラグーンの恩恵にあずかる必要のない特大弾も多かった。
ロッテ<中村剛也のHR数の年も。
10年前の2009年には、サブローの22本を筆頭に5人の2けた本塁打がいた。
しかし2011年、統一球導入に伴ってロッテの本塁打は激減する。チーム最多本塁打は現監督・井口資仁の9本。12球団すべて本塁打が減ったが、ここまで減少したチームはなかった。
なお、この年のパ本塁打王は中村剛也(西武)の48本だったが、ロッテはチームが寄ってたかっても中村1人に届かなかったのだ。
以後も、昨年までチーム本塁打は100本に届かず。一方で被本塁打は2014年から5年連続で100本以上。当然ながら「ホームラン収支」は大幅な赤字だった。しかも赤字幅は年々増大していたのだ。
では「ホームランラグーン」を増設し、レアード、吉井理人の「寿司コンビ」が入団した2019年はどうなったか?
2019年
本塁打 158(3)
被本塁打143(1)収支15本
見事、本塁打数は2010年以来9年ぶりに100本の大台に乗った。被本塁打はリーグ1位タイにはなったが、ホームラン収支は、これも2010年以来の黒字になった。
間違いなく戦力の底上げを感じる。
どれくらい改善されたのかをもう少し詳しく見てみよう。
2018年、2019年のロッテの本塁打と被本塁打をZOZOマリンスタジアムとそれ以外に分けてみた。カッコ内がZOZOマリンでの本塁打、被本塁打である。
・本塁打
2019年 158本(72本)
2018年 78本(36本)
・被本塁打
2019年 143本(74本)
2018年 129本(55本)
本拠地ZOZOマリンではホームランは94.6%増加したが、被本塁打は34.5%の増加にとどまった。そしてZOZOマリン以外の球場では、ホームランは109.8%増加したが、被本塁打は6.9%減少したのだ。
これは「ホームランラグーン」効果だけでなく、投打で戦力の底上げがあったということだろう。そういう意味でもレアード&吉井効果はあったと断言してよいと思う。