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進化した大エース擁する東京国際大学。
神奈川大学は主力の爆発力がカギ。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byNanae Suzuki / Yuki Suenaga

posted2019/12/06 11:00

進化した大エース擁する東京国際大学。神奈川大学は主力の爆発力がカギ。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / Yuki Suenaga

神奈川大学

第96回箱根駅伝予選会:2位
第95回箱根駅伝(前回大会):16位
10年連続、51回目

Key person of the TEAM:越川堅太(4年)

箱根駅伝予選会で見せた果敢な挑戦。
最上級生の意地でチームに流れを作れるか。

文=和田悟志

“箱根駅伝予選会に強い”──決して名誉な表現ではないが、神奈川大学にはそんな印象がある。

 前評判が高くはない年でも危なげないレース運びで、気が付けば、ボーダーラインからは余裕をもって本大会出場を決めていることが多い。今年10月の第96回箱根駅伝予選会もまさにそんなレースになった。

 他大学の失速に助けられた部分もあったが、2位で本大会への切符をつかんだ。

 しかし、例年とは異なる点もあった。それは、後半に順位を落とした点だ。例年であれば、立川市街地から国営昭和記念公園に舞台を移した後半に、じわりじわりと順位を上げていくのが神奈川大の箱根駅伝予選会の戦い方だが、今回は得意のはずの後半で東京国際大学にトップの座を明け渡した。

 ただ、その原因は明らかだ。そこには越川堅太(4年)ら主力の果敢なチャレンジがあった。

 越川は爆発力を秘めた選手だ。2017年に全日本大学駅伝で20年ぶりの優勝を飾った時には、5区区間賞の爆走で、先頭の背中が見える位置にまで一気に差を縮め、最終区での逆転優勝への足掛かりを築いた。昨年度も、箱根駅伝予選会ではチームトップの15位と活躍。全日本大学駅伝でも最終区で区間6位の好走を見せている。

 ところが、エース区間の2区を担った前回の箱根駅伝は、区間15位に沈んだ。その後もチームは挽回できず、結局一度もシード権争いに加わることができなかった。

低迷が続く中、予選会で思い切った。

 そこから越川の低迷が続く。最終学年を迎えエースとしての活躍が期待されたが、「今シーズンは思うように1回も走れていない」と越川自身が振り返るように、なかなか思うような走りを見せられなかった。5月の関東インカレ(2部)では5000m、10000mともに入賞を逃すと、全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会では、本大会出場権の可能性を残して最終組に出場したものの、大きく失速し、選考会での敗退の原因にもなった。

 それだけに、箱根駅伝予選会には期するものが大きかった。だが、堅実さが求められるレースでも、越川は箱根駅伝本大会を見据えて、思い切ったレースを展開した。

「箱根駅伝はスピードレースになるので、入りの10kmをもっと攻めて入れたら……」と本大会での走りを思い描いているが、その通りに、箱根駅伝予選会でも最初の5kmを14分36秒と突っ込み、前半は日本人の先頭争いに加わった。この日は前日とは打って変わって朝から気温が高く、結局、その後はペースダウン。越川は、後半に大きく順位を落とし71位でレースを終えた。

「個人としての評価は10点満点中5点ぐらい。最低限の走りだったという感じですね。最初しっかり入ることができた分、後半落ち込んでしまったので……。ここまで暑くなっても、最後はもうちょっとまとめられたんじゃないかなとも思うんですけど、そこは箱根駅伝までの課題。課題が見つかったのは良いことなので、その課題に向かって、しっかりやっていこうと思います。前期よりは徐々に良くなってきていると思うので、あとは練習量でしっかりカバーするだけ。監督を信じて練習をするだけですね」

【次ページ】 「区間がどこでも、区間賞を」

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