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着々と強くなるベトナムサッカー。
トルシエが考えるW杯までの道。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byShuichi Tamura

posted2019/12/02 11:30

着々と強くなるベトナムサッカー。トルシエが考えるW杯までの道。<Number Web> photograph by Shuichi Tamura

U-18日本代表との一戦の翌日、リラックスした状況でインタビューに応じてくれたフィリップ・トルシエ監督。

PVFでの働きが認められてU-19の監督に。

「私は自分がよく知る世界に再び戻ったわけだ――レベルは関係なかった。U-17でもU-19でもA代表でも、問題となるものはすべて同じであるからだ。

 繰り返すが私がベトナムにやって来たのは、2026年ワールドカップの準備をするためだ。2026年の主力となるのは、2001~03年生まれの選手たちだ。それを考えれば今の状況は、私にとってノーマルであると言える。

 もちろん私の雇い主であるPVFが、兼任を承諾することが、まず前提にあった。背中を押したのは協会ではなくPVFだ。PVFとPVFを所有する『ビン・グループ』(ベトナム有数の財閥)が協会に同意し、同時にPVFからのスタッフの出向も認めた。アシスタントコーチとフィジカルトレーナー、ふたりのフィジオセラピスト、ビデオスタッフ、テクニカルアシスタント……。スタッフには日本人もいる」

――全員がPVFからの出向ですか?

「私のPVFのスタッフだ。PVFと協会は、それだけ密接に繋がっている。だから組織が機能し続けていける。

 ビン・グループはこの10年来、PVFを通じてベトナムサッカーの発展に貢献してきた。そして今日、アカデミーの枠を超えた責任を担うことを望んでいる。目的はすべてのクラブの優れた選手をひとつに集めること。すべてのベトナムのエリートを集める手段・方法をビン・グループは協会に提供することができる。

 すでにU-19ではそれを実現した。どうしてU17でできないと言えるのか。また五輪代表のエリートたちも。2026年ワールドカップの主力は1999年や2000年生まれの選手たちだ。彼らは当然ながらプロジェクトに含まれる」

W杯の予選突破が最後の目的だ。

――今後もふたつの仕事(PVFとU-19)を続けていくのですか?

「さしあたって私の協会への使命は完了した。契約は11月までで、PVFが私に許したのは予選突破というミッションを成し遂げることだった。それが成し遂げられた今、私はPVFのTDに戻る。そして今後の状況がどうなっていくかを見る。

 そこから先に協会が具体的に何を望むのか。私の留任を望むのか。PVFも兼任を容認するのか。それは私が答えられることではないし、自分ひとりで決められることでもない。

 個人的にはこのまま続けたい。始めたのは私なのだから、最後までやり遂げたい。それにこのプロセスは、ワールドカップ予選に繋がっている。U-19アジア選手権はU-20ワールドカップへの最初のステップだ。私のプログラムも、ワールドカップ予選突破を目的としたものを作っていきたい。

 それがベトナムサッカーを進化させる戦略でもあるといえる。より大きな視野でものを見るべきだし、積極的な対策をとっていくべきだ。ウズベキスタンのアジア選手権に向けてU-20の準備を進めるための組織作りが、ベトナムがワールドカップ出場を果たすための最善の努力にならねばならない」

【次ページ】 日本のユース世代のリーグ参戦というアイディアも。

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