大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
“メグカナ”を経験した今だからこそ。
大山加奈が願うバレー界の意識変化。
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph byItaru Chiba
posted2019/11/28 11:50
W杯でベストオポジットに輝いた西田は、総得点でも3位に。所属するジェイテクトは現在、Vリーグで8勝1敗で2位につけている。
“圧巻のサーブ”を支えたチーム。
中でも、西田選手のプレーはとにかく“圧巻”の一言。これほどの規模の国際大会で日本人がサーブランキング1位になること自体、これまでは考えられないことでした。サウスポーで、回転の違いがあるとはいえ、勝負所であのサーブを打ち続けられるメンタルと技術。ただ「勢いを与えた」とか「怖いもの知らず」という言葉では言いきれないほど、チームにもたらしたプラスの影響は大きかったはずです。
大会終盤にはなかなかスパイクが決まらず、苦しんだ試合もあったように見えましたが、それでも大会を通して好不調の波が少なかった。私と比べてしまって申し訳ないですが(笑)、メグ(栗原恵)も私も、思いきりプレーできたのはリザーブでレオ(佐々木みき)さんのように、崩れたら立て直してくれる存在がいたから。
西田選手が思い切りプレーできるよう、チームづくり、環境づくりをしていたであろうことも含め、チームコンセプトも明確で、それぞれが役割を全うする。ワールドカップ後に開幕したVリーグも男子は盛り上がりを見せていると聞きますが、その中心で活躍した若い西田選手の存在はもちろん、今大会の男子バレー日本代表がそれだけ多くの人たちを惹きつける魅力あるチームだった、という証明ではないでしょうか。
過剰にスターをつくる風潮。
盛り上がるのは本当に素晴らしいことで、どんどんメディアの方々にも取り上げていただきたい。そう願うのが第一ですが、一方で、特定の選手ばかりが過剰な取り上げられ方をするのは選手にとって、競技にとってプラスなのか、という問題もあります。
西田選手に関しては、ベストオポジットも受賞したように結果が伴った。その上で「新たなヒーロー」として取り上げられる機会が増えましたが、大会前の過剰報道のようにあらかじめ「スターをつくる」という風潮を見ると、少し首をかしげたくなるのも事実です。