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バレー福澤達哉、二度目の海外挑戦。
自身の野望と覚悟を「言葉にする力」。
posted2019/12/24 11:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano
クリスマスを象徴する赤い光に照らされたシャンゼリゼ通りや、夕暮れのエッフェル塔。観光客で賑わう大都会も、大規模ストライキで公共交通機関はストップ。苛立ちを表すかのように、渋滞した車からはクラクションが止まない。年末に向けた穏やかな日本での日々と比べれば、明らかに非現実な街並み。そんな喧噪の中を実にスマートに、メトロやトラム、時にはキックボードで移動する。
「ストライキなんて、日本ではありえないでしょ(笑)。環境の違いはもちろんあるけれど、そこで経験できることも全部、純粋なチャレンジですよ」
2020年に向けたカウントダウンが始まった2019年12月、福澤達哉はバレーボールのフランスリーグ、パリ・バレーで新たな挑戦の日々を過ごしている。
「もう一度海外でやりたい」
世界のトップ選手が集うイタリア、ロシア、ポーランド、トルコを欧州四大リーグとするならば、フランスリーグはおそらくその下。外国人枠の制限もなく、かつて福澤と同じパリ・バレーでプレーした古賀太一郎が、ポーランドへとキャリアップを遂げたように、まだ国際的にはキャリアの浅い選手が比較的多い「ステップアップリーグ」の印象も強い。
福澤の在籍するパリ・バレーはフランスリーグだけでなく、かつてヨーロッパチャンピオンズリーグを制した名門ではあるが、近年は財政難で下部リーグに転落。福澤が日本で築いたキャリアと重ねれば、なぜそこに、33歳の福澤が身を置くのか。そんな疑問を感じなくもないのだが、福澤が二度目の海外挑戦を決めた理由は至ってシンプルだ。
「自分の選手生活でやり残したことは何か、と考えた時、もう一度海外でやりたい。海外で自分の力を試したい、と思ったんです。日本にいたらある程度“福澤はこれぐらいするだろう”と思われているけれど、多国籍なヨーロッパのチームで、自分が築き上げて来たものをどれだけ表現できるのか。単純に、純粋な挑戦を楽しめる自分がいるんです」