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モンフィス撃破。西岡良仁の魔術と、
錦織圭不在のデ杯に見た日本の進歩。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2019/11/24 20:00

モンフィス撃破。西岡良仁の魔術と、錦織圭不在のデ杯に見た日本の進歩。<Number Web> photograph by Getty Images

今シーズンの西岡良仁は四大大会などで数多くの激闘を見せてくれた。2020年、さらなる飛躍を遂げられるか。

日本の成長を象徴する西岡のプレー。

 しかし、次のセルビア戦は完敗で、岩渕監督は「強豪のチーム、選手に通用するものと、まだ届いていない部分が分かった」と話した。

 良くも悪くも、これが日本代表の現在地だ。だが、悲観すべき内容ではない。フランスのエルベールは対戦した内山を「年々よくなっている」とほめたが、年々強くなってきた日本チームを改めて実感できた2戦ではあった。

 好印象は、チーム唯一の白星を挙げた西岡の功績が大きい。

 大会はATPツアーのマドリードオープンと同じ会場で開催された。施設の愛称「カハ・マヒカ」は英語では“マジック・ボックス”。その舞台で、西岡がマジシャンぶりを発揮した。

 第1セットは5-5ともつれたが、最後に西岡がブレークで抜け出した。第2セットはモンフィスの焦りを誘い、圧倒した。うまくいかない展開にモンフィスは苛立ちを隠さなかった。デ杯はチームの勝利を懸けた戦いであり、ベンチには監督がサポートに入るため、たとえセットを落としても、選手がメンタル的に大崩れすることは少ない。しかし、この試合では西岡がモンフィスを崩し、戦意を失わせた。

相手監督、モンフィスも称賛。

 打っても打っても返ってくる。盛んにコースを変えて配球するかと思うと、一転、同じコースにボールを集める。同じコースにしつこくしつこく、しかも、スピン量や弾道を自在に操りながら。のらりくらりやるだけでなく、攻撃的なショットには破壊力があった。この西岡のテニスがモンフィスを蟻地獄に誘い込んだ。

 セバスチャン・グロジャン監督は「標高が高いマドリードのコンディションに適応する時間が十分に取れなかった」と選手をかばったが、「西岡のプレーを大いに称えるべきだ」と続けた。

 渾身の配球、そして西岡らしい守備の手堅さ。敗れたモンフィスは「西岡はすごく動きが速い、とても手強い相手だ。ミスが少ないから難しい試合を強いられる」と賛辞を並べた。

【次ページ】 錦織、ゴファンらを破った経験値。

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