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モンフィス撃破。西岡良仁の魔術と、
錦織圭不在のデ杯に見た日本の進歩。
posted2019/11/24 20:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
テニスのワールドカップをうたう国別対抗戦、デビスカップ・ファイナルズが11月24日までスペイン・マドリードで開催されている。エースの錦織圭を故障で欠いた日本はラウンドロビン(1次リーグ)で2連敗、すでに大会を去った。
ガエル・モンフィス、ジョーウィルフリード・ツォンガら選手層の厚いフランスと、ノバク・ジョコビッチ率いるセルビアに2戦通算1勝5敗の結果が残った。
錦織抜きでは――と嘆くファンの声が聞こえてきそうだ。しかし、筆者は悲観論にはくみしない。
前回準Vのフランスを追い込んだ。
日本はフランスとこれまで4度対戦して全敗だった。迎えた5度目の対戦、先陣を切った内山靖崇はツォンガに完敗したが、第2試合の西岡良仁が世界ランキング10位のモンフィスから白星をもぎ取った。
チームの勝敗決定後の消化試合での勝利と、相手の途中棄権による白星を別にすれば、日本選手のフランス相手の勝利は、初対戦の1926年に原田武一がルネ・ラコステを倒して以来93年ぶりだった。
ダブルスに出場した内山靖崇、マクラクラン勉は、前週に行なわれたツアー最終戦、ATPファイナルズのダブルスを制したピエールユーグ・エルベール/ニコラ・マユと最終セット5-5まで互角に戦った。
もちろん負けは負け。しかし、1927年の初優勝からデ杯で10度の優勝、昨年は準優勝の強豪フランスを、あと2ゲームで初戦黒星の窮地に追い込んだのだ。
「負けてしまったことはしっかり受け止めるが、我々のチームができることは出しきった」と岩渕聡監督が振り返った。大会前のランキングではフランスが1位、日本は17位だったが、世界のトップに絶望的な大差をつけられているわけではないことが確認できた。