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モンフィス撃破。西岡良仁の魔術と、
錦織圭不在のデ杯に見た日本の進歩。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byGetty Images
posted2019/11/24 20:00
今シーズンの西岡良仁は四大大会などで数多くの激闘を見せてくれた。2020年、さらなる飛躍を遂げられるか。
錦織、ゴファンらを破った経験値。
西岡本人の分析では、経験をもとにしたチャレンジが実を結んだ試合だった。
「今年、トップ10やそれに近い選手とやってきて、だれが相手でも、少ないチャンスはあり、それを取りきれるかどうかで変わると感じている。
しっかり組み立てて粘り強くというのは自分の持ち味だが、チャンスと思ったポイントで自分から攻め、思い切ってプレーして、取れなければ仕方ないという割り切りの中でプレーするようになった。今日はチャンスでそのプレーを積み重ねていけたのが勝利につながった」
今季は錦織圭(当時5位)、ダビド・ゴファン(同18位)、ロベルト・バウティスタアグート(同22位)、テイラー・フリッツ(同29位)、アレックス・デミノー(同38位)といった上位選手を破っている。
そうした勝利の手応えと、全仏2回戦でフアンマルティン・デルポトロ(同9位)に5セットで敗れるなど、あと一歩で金星を逃した苦味から抽出した戦略と心構えが、この日のプレーを可能にしたのだ。
ジョコには「歯が立たなかった」。
しかし、セルビア戦ではジョコビッチに粉砕された。「全然、歯が立たなかった」と西岡は唇をかんだ。「相手を陥れ、無理をさせる展開」が真骨頂だが、まさにそれをジョコビッチにやられたという。
「守っていてはチャンスがないので、いかにアグレッシブにいけるかだと思っていたが、返球の質が高くて主導権を握れず、無理をしてしまった」と西岡。前日に続くトップ10選手への挑戦だったが、最高のプレーは続かなかった。
しかし、完敗の中で「(相手の)どこが強くて、(自分に)どこが足りないか、ジョコビッチ選手のようなトップの中のトップと戦うにはどうしていくべきかというのを感じることができた」という。この経験値の積み上げが大きな収穫だ。