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広島一筋25年の新一軍打撃コーチ。
「生きて死ねるか」で立て直す。 

text by

前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byNanae Suzuki

posted2019/11/11 19:00

広島一筋25年の新一軍打撃コーチ。「生きて死ねるか」で立て直す。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

4連覇を逃し、3連覇を支えた菊池涼介がメジャー挑戦を表明。朝山コーチは過渡期にあるチームを作り直せるか。

「フライボール革命」への見解。

 野球が攻撃的に変わってきているからこそ「フライボール革命」が広まっているのだろう。朝山も「フライボール革命」を否定しているわけではない。いや、理論自体は肯定している。

「フライボール革命がいいと言われているからと、みんながやればいいわけじゃない。アマチュアには勘違いしている人もいる。バットを体から離して始動しては勝負にならない。フライで外野を超えるどころか、前にも飛ばない。

(バット軌道が)アッパーからアッパーではなく、Vの字が理想。身体から離さずにバットを降ろしてから上げる。力のある選手だからこそ、フライを打ってもスタンドまで放り込める。ただ、V字のスイングでもスタンドインせず、外野フライ、内野フライで終わるような選手であれば、バットを下してからレベルスイングした方がいい」

 理論を理解した上で実践しなければ意味がない。誰も彼もが取り入れればいい訳ではない。新陳代謝が求められる広島の現有戦力で「フライボール革命」の理論だけを選手に押しつけても、成功はしない。

押しつけるのではなく、導くもの。

 指導法と同じように柔軟性と身の丈に合ったやり方がある。だからこそ選手に寄り添い、個々の能力や現状などを見極めなければいけない。

 秋季キャンプでは、俊足と知られる野間峻祥に「フライボール革命」のスイングとされるV字から振り上げるスイングを認めている。

「もともと飛ばす力はある。小さくまとまってしまうよりは、もっと大胆に振れるようになった方がいい」

 次々に柵を越えていく打球に、新たな可能性を見た。

 教えるということは押しつけるのではなく、導くものだろう。これまでは若手を一軍に導いてきた若き名伯楽が来季、一軍の舞台で広島攻撃陣をどう導いていくのか、その手腕に注目したい。

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