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紀平梨花サイドも決意を新たに。
「五輪では4回転から逃げられない」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2019/11/10 09:00

紀平梨花サイドも決意を新たに。「五輪では4回転から逃げられない」<Number Web> photograph by AFLO

表彰台でトゥルソワと抱き合う紀平梨花。GPシリーズ前半戦は女子フィギュアスケートが新たな時代に突入したことを実感できる戦いだった。

新時代に取り残されてしまう。

 紀平を指導する濱田美栄コーチも、スケートカナダのあと、まずトゥルソワをこう評価した。

「大きな技を決めると感動しますよね。トゥルソワのジャンプはすごい。疑いようがない。ばねがしっかりしている」

 メンタル面も印象的だったと言う。

「1回こけてもめげないじゃないですか。その勇気がすごいと思う。心の強さがある」

 フィギュアスケート女子に訪れた新時代についてはこう語る。

「スケートは、変わるときは一気に変わるんです。男子もそうですが。女子も4回転の時代、新時代についていくようにするしかない。ついていかないと取り残されてしまう」

 そしてその分析から、こう決意を新たにした。

「次のオリンピックでは逃げられないですね」

紀平も予感はしていたはず。

 逃げられない、とは4回転ジャンプをはじめとするジャンプの高難度化への取り組みにほかならない。

 男子がそうであるように、目の前に「手本」が現れれば、他の選手はその影響から逃れられない。

 日本にもトリプルアクセルを跳ぶ女子の選手が増えているのも、時代を見越してのことだ。

 何よりも、トリプルアクセルをしっかり自分の武器にすることで成長を遂げた紀平自身、今日の状況はある程度予感はしていただろう。2018年の世界ジュニア選手権で優勝したトゥルソワとともに同じ場に立つなど、ロシアのジュニア勢を体感してきてもいる。紀平も、そしてほかの選手たちもまた、トリプルアクセルに加え4回転ジャンプを志すのも、時代の趨勢にほかならない。

【次ページ】 4回転がすべてではないが。

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