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ELに超情熱的なフランクフルトと、
FW鎌田大地、長谷部誠の好感触。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/11/06 08:00
フランクフルトで主力の鎌田大地(中央)と長谷部誠。昨季準決勝まで進んだELで今季も躍進 なるか。
「ELを戦うのは簡単じゃない」
プレーオフのストラスブール戦では「黒の地獄がお出迎えする」というバナーを掲げて、ヒリヒリする空気感を作り出した。日本代表の鎌田大地も「うちがこのヨーロッパリーグという大会に懸けている思いはすごく強いので、チームとして絶対に勝ちたかった」と、試合後に振り返っていた。
そうやって、選手とファンとクラブの思いが重なり合った結果、2年連続で本戦出場を見事に勝ち取ったのである。
今季ヨーロッパリーグは3節まで終了。10月25日にはベルギーのスタンダール・リエージュと対戦し、2−1で勝利している。
「相手の出来が悪くなかった。しっかりとブロックを作って守備していましたし。自分のところからボールを入れようと思っても締めてくるというか。プレーしていて特に前半は難しさを感じました」
フランクフルトの主軸である長谷部誠は、そう振り返った。
リエージュは組織的な守備でセンターを固め、簡単なパスワークではびくともしなかった。この日、前半はトップ下の位置でプレーした鎌田大地も「相手に引かれるとやっぱり簡単な試合にはならない。他のヨーロッパリーグの試合を見てもそうだし、ヨーロッパを戦うというのは簡単じゃないなと思います」と率直な感想を口にしていた。
レビッチ、ヨビッチ、アレが去って。
攻撃のバリエーションアップが、現在のフランクフルトのテーマである。
昨季のフランクフルトは勢いが何よりの武器だった。ほとんどのゴールに絡んでいたレビッチ、ヨビッチ、アレの3人がクラブを去った今季、他の戦い方を模索する必要があった。だが、それを理由に攻撃力が低下することは避けなければならない。鎌田は語る。
「去年から選手が大きく替わって、アレのように確実に収められる選手がいなくなったし、アンテ(レビッチ)のようにスピードのある選手もいない。去年はアンテとコスティッチの2枚で素早いカウンターを見せられていましたが、今年はスピード感がなくなっている。
そのぶんビルドアップはリーグでトップ5に入ると監督も言っているので、そこはチームとして成長している部分だと思います」