欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ELに超情熱的なフランクフルトと、
FW鎌田大地、長谷部誠の好感触。
posted2019/11/06 08:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
フランクフルトとヨーロッパカップの関係は特別だ。
ファンは欧州の舞台で戦えることを心底楽しみにし、チームの躍進ぶりを喜んでいる。だから相手に関わらず、時間に関わらず、天候に関わらず、どんな試合でもスタジアムはほぼ満員になる。
UEFAヨーロッパリーグ(EL)グループリーグ進出前の予選3回戦ではリヒテンシュタインのファドゥーツと対戦した。ここでもホームでの一戦には4万8000人の観客が詰めかけた。ファーストレグですでに5−0と快勝し、ホームでのセカンドレグを待たずプレーオフ出場がほぼ決定しているにもかかわらずだ。
ファンにとってヨーロッパのカップ戦は毎試合がお祭りであり、常に全力で立ち向かい、自分たちのアイデンティティを共有できる大事な劇場なのである。毎試合のように壮大なコレオグラフィを準備し、スタジアムの雰囲気を最高のものにしようとしている。野太い声援の重厚感がどれだけチームを支え、相手チームに威圧感を与えていることか。
ELになかった情熱の渦を巻き起こす。
そうした思いは、選手にもしっかりと届いている。オーストリア代表CBマルティン・ヒンターエッガーは言う。
「ファンが僕をどこまでも走らせてくれる。足を痛めて動けなくなったときも、終盤息が苦しいときも、彼らのサポートは本当に素晴らしい。僕に新たな力を与えてくれるんだ」
ヨーロッパリーグは、欧州最高峰のチャンピオンズリーグと比べると、どこかでやはり二番煎じの印象を払拭できないかもしれない。だからといって引け目など感じず、本気で戦うことで最高の舞台にするのだ。
誰かが決めた最高のリーグで戦うから熱狂が生まれるわけではない。要するに、フランクフルトはこれまでのヨーロッパリーグになかった情熱の渦を自分たちで巻き起こしているのだ。