「僕が動き回ってパイプ役に」

　その言葉通り、このポジション変更がチームの流れを変えた。確かなリズムが生まれた。普段はトップ下やインサイドハーフの位置でプレーする鎌田は、相手守備間のスペースに好タイミングで動き出し、うまくボールを引き出すことができる。

　この日はサイドに積極的に流れたり、守備ラインの後ろにどんどん飛び出すなど味方のためのスペースを作り、攻撃チャンスにつなげていた。また味方がボールカットした瞬間、すぐにパスを引き出すシーンも多かった。

「今年は中継役というか、チームがカウンターをするときの起点になることが多い。僕が動き回ってチームのパイプ役になる。簡単に前を向いてウィングのコスティッチだったり、ダコスタだったりにパスを出し、チームとしてクロスにまで持っていく。今年はそういう幅広いプレーができるようになったと思います」

アシストやゴールが増えていけば。

　相手陣内でボールを持つ場面が増えたことで、セットプレーのチャンスも続けて訪れる。鎌田は、得意のセットプレーから2アシストをマークした。そのキックの精度、スピード、高さ、コース。どれも素晴らしい。ドイツメディアも試合後鎌田をつかまえていろいろと質問を投げかけていたほどだ。

「今のプレー内容、アシストとかゴールをもうちょっと増やしていければ、僕の目指しているところに、ある程度近づけるのかなと思います」

　リエージュに2−1で勝利したフランクフルトは、グループでアーセナルに次いで2位につけている。決勝トーナメント進出に向けた好位置だし、悪い成績ではない。

　だが、これが完成形ではないだろう。2人が欠場したとはいえ、相手の守備を崩せずに苦しんだ前半は確かな課題だ。

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