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10代で過大評価の烙印を押された、
天才ウーデゴールがソシエダで開花。
posted2019/11/08 11:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto Press
11月3日の第12節でグラナダを破ったレアル・ソシエダが、リーグ戦でバルセロナ、R・マドリーに次ぐ3位につけている。
好調の原動力は、イマノル・アルグアシル監督が志向する攻撃的なサッカーだ。2点を追いかける展開でハーフタイムを迎えた第11節のレバンテ戦では、指揮官が後半開始と同時に最終ラインと中盤を1人ずつ減らし、FWを2人増やす大胆な采配を見せた。
もうひとつの要因が、マルティン・ウーデゴールだ。
R・マドリーからのレンタルで加入した20歳のタレントのパフォーマンスに、スペインのメディアやサッカーファンは瞠目している。
彼らの多くは、「天才」と呼ばれたウーデゴールの才能を信じていなかったからだ。
16歳でトップデビュー、その後。
2014年4月、15歳と118日でノルウェー1部リーグデビューを果たしたウーデゴールは、欧州中のビッグクラブのターゲットとなった末、翌年1月にR・マドリーに加入した。
見方を変えると、競争相手であったバイエルン、リバプール、アーセナルなどを上回る好条件を、R・マドリーが提示したことになる。それだけの価値がウーデゴールにあると判断して。
外野の期待は、当然膨らむ。
16歳になったばかりだったウーデゴールは、いきなりトップチーム入りが噂されるなか、2部Bリーグで戦うBチームの選手となった。そして、2014-15シーズンの最終節で1部のピッチに立ち、R・マドリーの最年少デビュー記録を「16歳と157日」に塗り替えた。
期待は、なお膨らむ。
ところが翌シーズンも2016-17シーズンも登録はBチームのまま。たまにトップチームの練習に呼ばれても、試合には出してもらえない。
そこでウーデゴールは他クラブでの武者修行を求め、2017年1月から2018年6月までオランダのヘーレンフェーンへ、昨季は同国のフィテッセへレンタル移籍してプレーした。育ち盛りの選手に欠かせない「継続的な試合出場」を、スペインの2部Bよりはレベルの高いピッチで確保するためだ。