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バーティに優勝賞金4億8000万円!
WTAファイナルズの陰に中国マネー。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2019/11/06 11:40
WTAファイナルズで優勝したバーティが手にした賞金は約4億8000万円。チャイナマネーが動く大会へと変貌した。
経済特区・深セン開催という要因。
賞金の高騰に中身が追いついていない。
アジアで、中国でこのクラスの大会を開催するのはまだ無理なのではないか。一方で、中国だからこの巨大なクラスの大会になったことも確かだ。賞金の吊り上げに大きく協力したのは開催地である深セン市だ。
アジアのシリコンバレーと呼ばれる深センは、中国が改革開放政策の一環として1979年に設置した4つの経済特区の1つで、外国の資本や技術を導入するために税制優遇などを認めた。超高層ビルが乱立し、猛烈なスピードで開発が進む都市のようすに驚かされた。
ベンチッチはあるとき記者会見で、「皆さん、知ってました? スイスとチェコとスロバキアの全人口を合わせても深セン市の人口より少ないんですって」と言って笑った。
深センの人口はネットなどでは1400万と記されているが、あまりにも急速に増加しているため情報の更新がされていないだけで、実際は2000万人を超えているという。誰から聞いたのか、ベンチッチが言うには2200万人だそうだ。
添田が話していた中国の環境。
そんな深センではこのWTAファイナルズのほかに年初のWTAツアー大会(賞金総額75万ドル)、3月と10月にATPチャレンジャー大会が開催されている。10月のチャレンジャーというのはWTAファイナルズと同じ週で、屋外のハードコート大会だ。日本からもシングルス本戦に4人が出場していた。
その中では最高のベスト8まで勝ち進んだ添田豪はこんな話をしていた。
「中国の大会は施設がいいですし、ツアーレベルのセンターコートを持っているところもあります。でもお客さんはいない。日本はチャレンジャーレベルでもけっこう多くのファンの方が来てくれます。中国の施設と大会数、そこに日本のお客さんが組み合わさったら最高の環境になるんですけどね(笑)」
中国には現在、上海マスターズを含めて男子のツアーレベルが4大会、女子は珠海で行なわれている<次代のスターのためのもう1つのファイナル>も含めて10大会ものWTA大会がある。さらには日本に現在2大会しかないATPチャレンジャーが10大会もある。