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バーティに優勝賞金4億8000万円!
WTAファイナルズの陰に中国マネー。
posted2019/11/06 11:40
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
女子テニスツアー最終戦、シーズンの上位8人のみに出場資格が与えられるWTAファイナルズが閉幕した。
テニス史上、個人スポーツ史上最高の優勝賞金額を手にしたのは、オーストラリアの23歳アシュリー・バーティ。大坂なおみの同世代ライバルの1人でもあるバーティが獲得したその額は、442万ドル(約4億8000万円)にのぼる。
ラウンドロビンで1敗してしまったため、優勝者が獲得しうる最高額の472万5000ドル(約5億1200万円)には届かなかったが、それでも男女を通した個人のスポーツにおいて歴史上もっとも高額な賞金を手中に収めた。
ちなみに、ラウンドロビンの1勝には30万5000ドル(約3300万円)が配分されており、全勝で勝ち上がった準優勝のエリナ・スビトリーナは240万ドル(約2億6000万円)を獲得した。いずれも男子の最終戦であるATPツアーファイナルズの賞金の2倍に近い額だ。
賞金の一部を動物愛護協会に寄付。
バーティは、ジュニア時代から類い稀な才能に恵まれながら18歳の若さで一度バーンアウトし、2年近くテニスを離れて、その間にクリケットの国内リーグで活躍したという異色の経歴の持ち主。全仏オープンで悲願のグランドスラム優勝を成し遂げ、大坂なおみから世界1位の座も奪った今年の活躍を見れば、トップ中のトップが集う今大会でもっともチャンピオンにふさわしい選手の1人だったといえるだろう。
「私も、多分ほかの選手たちも皆、賞金のことを考えてテニスをしているわけではないけど、女子スポーツの成長の証ととらえていいと思う。
テニスはもっともグローバルですばらしいスポーツだと思うし、このことによって女子テニスがさらに世界中から注目される。何もないところからスタートした私たちが、こうして新しい記録を作った。選手だけでなく、長い間、陰で尽力してきた全ての人々の努力の賜物だと思う」
そう語ったバーティは、賞金の一部を自身がアンバサダーを務める『動物虐待愛護協会』に寄付するのだという。
膨大な報酬を社会に還元する行為も関心を集め、きらびやかな金・銀・ラメの紙吹雪の中、おさまるところにおさまったという感じで大会の幕は下ろされた。