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大坂なおみの2019年は「U」だった!?
「去年より泣いたけど、教訓かな」
posted2019/10/31 12:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
「またか」
「まさか」
一瞬、ふたつの感想が混じり合った。大坂なおみがWTAファイナルズを途中欠場。2日前、ラウンドロビンの初戦でペトラ・クビトバを退け、世界1位のアシュリー・バーティとの注目の一戦が始まる3時間あまり前の発表だった。理由は右肩のケガ。練習中か、2日前の試合の最中か、それともオフコートでの出来事か――。
憶測がめぐる中での会見で大坂はこう話し出した。
「実は北京の決勝で痛めていました。サーブが打てるようになったのはこっちに来る2日前からだった。でもいい感じになって、試合をしたんだけど、翌日起きたら急にまた痛みが出て昨日は全然サーブが打てなかった」
クビトバ戦では要所で強力サーブを生かし、トータルで12本のエースを放った。確かに練習はすぐに切り上げたが、ここでの棄権は予想もしない展開だった。
この大会のラウンドロビンでは、1勝ごとの賞金30万5000ドル(約3300万円)のほかに、戦った試合数によって異なる出場料が定められている。ケガなどで1試合しかプレーしなければ22万ドル(約2400万円)だが、2試合プレーすれば26万5000ドル(約2900万円)。つまり、たとえ負けてもコートに立ちさえすれば500万円増えるわけだが、その額は大坂レベルのプレーヤーがリスクをおかすエサにはならない。
途中棄権も含めて負けて去るより、クビトバ戦の勝利で締めくくることを選び、大坂の2019年シーズンは終わった。
クビトバ戦の明らかに高い注目度。
大坂は今3位だが、トップに匹敵する目玉選手だった。
ダブルスのほうには中国から2人、台湾から3人のアジア選手がいるが、シングルスでアジア系は大坂ただひとり。北京で優勝したばかりということもあり、これまでのところの観客数は、目視するだけでも明らかに初日の大坂対ペトラ・クビトバの試合が一番多かった。
ここからバーティとの今季グランドスラム・チャンピオン同士の対決、そして今季3敗を喫している相手ベリンダ・ベンチッチへのリベンジと、見どころが詰まっているはずだった。