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バーティに優勝賞金4億8000万円!
WTAファイナルズの陰に中国マネー。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2019/11/06 11:40
WTAファイナルズで優勝したバーティが手にした賞金は約4億8000万円。チャイナマネーが動く大会へと変貌した。
大坂、アンドレスクの途中棄権。
ただ、8日間の大会期間中、ずっと心に引っかかっていた思いがある。本当にこれほどの賞金を据える大会にふさわしい内容だっただろうかということだ。
実際に賞金を受け取るのは選手たちだが、選手だけに背負わされる責任ではない。
運営ノウハウの完成度や、会場内に配置されているあらゆるスタッフのレベル、観客の数とその質、メディアの数とそのクオリティ。残念ながらこれらはいずれも、この歴史的な大会に見合うものではなかった。
その中で、肝心の選手のパフォーマンスはどうだったかといえば、プレーのレベルそのものよりも、棄権者の多さが大会の盛り上がりを妨げ、ファンやメディアの興味を削いだように思う。
大会3日目に大坂なおみがラウンドロビンの2試合目を前に棄権し、最年少の19歳ビアンカ・アンドレスクもその翌日のラウンド2を途中棄権。結局、残り1試合は捨てて姿を消した。大阪から北京と10連勝してきた大坂と、シーズンを通した勝率が出場者中最高で9割を超すアンドレスク。キャラクター的にももっとも期待、注目された2人がラウンドロビンを途中退場する事態に、格落ち感は否めなかった。
ベルテンス、ベンチッチも……。
ラウンドロビンのために大会は控えの選手を用意しているが、大坂の代わりに入ったキキ・ベルテンスも1勝したあとにグループ最後の試合を途中棄権。準決勝に進出したベリンダ・ベンチッチも右脚の付け根の痛みを理由にファイナルセット途中で棄権した。
シーズンも終盤で多くの選手が疲労や痛みを抱えている。シーズンを通しての競争レベルが高くなったことも一因かもしれない。
しかしよほどのケガでなければ最終戦を欠場することはしない。名誉云々以上に、たとえ1試合しか戦えず、しかも負けたとしても22万ドル(約2400万円)の出場料があるのだ。