水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
水沼貴史が語る札幌&ミシャの進化と、
元Jリーガー野々村社長の手腕、功績。
posted2019/11/01 19:00
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
Kiichi Matsumoto
先日、埼玉スタジアムで行われたルヴァンカップの決勝戦。試合後のミックスゾーンで見た、ミシャ監督(北海道コンサドーレ札幌/ミハイロ・ペトロヴィッチ)の悔しそうな表情がとても印象的でした。
ミシャは日本に来てもう、13年。まだタイトルを1つしか獲ってないんですよね。それでもここまで長きにわたってJリーグで指揮を執れているのは、どこのチームでも魅力的なサッカーを見せ続けているからだと思います。
ミシャがすごいところは、1からチームを作り上げるところ。特に札幌はミシャ就任前、残留争いをしていたチーム。その中で昨年はACLまであと一歩、今年は初タイトルに手が届くところまで成長させている。すごいの一言に尽きます。
チャナ、武蔵を生かしたカウンター。
現在の札幌の特徴は鋭いカウンター。よりスピード、より縦に速いサッカーです。サンフレッチェ広島、浦和レッズ時代よりも現実的なサッカーを展開しているように感じます。アジリティに優れるチャナティップ、フィジカルとスピードがある鈴木武蔵らの特徴を生かした戦術でしょう。
これまでミシャは2列目だと柏木陽介(浦和)、高萩洋次郎(FC東京)のような「ゲームを作るタイプ」の起用が多かった。ただ札幌では在籍する選手たちをより最大限に活かすサッカーを選んでいます。そういったマネジメントこそ、ミシャの強みだと思います。
チャナはもちろん、武蔵はミシャのもとですごく成長した選手でしょう。ボールの受け方、準備の精度が格段に上がりました。何度か練習を見させてもらったことがありますが、プレーを止めながら「今のはそこじゃない」とか「そっちへ行くんだ」と細かい部分まで徹底して意識させていたのが印象的でした。
さらにその2人の前には190cmあるジェイがいる。三者三様の攻撃陣とマッチアップするDFからすれば、苦労するのも頷けます。そういった選手の配置が絶妙ですよね。