水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
水沼貴史が語る札幌&ミシャの進化と、
元Jリーガー野々村社長の手腕、功績。
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/11/01 19:00
ルヴァン決勝後、鈴木武蔵らを労う野々村芳和社長。コンサドーレ躍進をミシャ監督とともに支えている。
四方田前監督をコーチにした英断。
ただ、それを実現するのは単に優秀な監督を連れてくるだけでは難しい。だからこそ、それまでチームを支えてくれていた四方田修平前監督をコーチに据えました。
実は彼ともライセンス取得の時に仕事をしたことがあってよく知る間柄なのですが、とても真面目な人です。監督からコーチに戻ることで葛藤もあったでしょうが、ミシャと仕事をすることは少なからずサッカー人生でプラスになると考えたのだと思います。
ミシャにとってもチームを深く知る四方田コーチがいたことは大きかったはずです。
当時、ミシャの監督就任発表よりも先にコーチ就任のリリースをしたことが話題になりましたが、それだけコンサドーレを知る人が重要だったということの表れでしょう。野々村社長は人を見ることには長けている。
現役時代の野々村社長をコンサドーレに呼んだのは岡田(武史/1999~01年まで札幌の監督を務めた)さんです。その岡田さんがチームをJ1昇格に導いた時に「彼の力は大きかった」と話していたぐらいですから。
社長の表情は誇らしそうだった。
そんな野々村社長の信念は徐々にコンサドーレを応援する人たちを動かしつつあります。ルヴァンカップ決勝の舞台には多くのサポーターが駆けつけていました。
スタジアムの雰囲気、素晴らしかったですよ。悪天候で欠航便も相次いだようですが、聞いた話によるとSNSを駆使して韓国経由でスタジアム入りする方々もいたとか。それぐらい札幌で、北海道で、コンサドーレが根付き始めているんだなと改めて実感しました。
試合後の様子を実況席から見ていたのですが、野々村社長が表彰台に上がる選手たちへ向けてピッチから拍手を送っていました。スタッフや選手はみんな悔しい表情でしたが、見上げる野々村社長の表情はとても誇らしそうでしたね。
3-3の打ち合い、PK決着という“おもしろい”決勝戦を見せられたこと、戦えたことが嬉しかったのだと思います。もちろん、悔しい思いも持ち合わせていたとは思いますけどね。