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J2京都FW一美和成がゴール量産中。
宮本恒靖との1対1で学んだ駆け引き。
posted2019/11/02 11:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
今、J2リーグでブレイクの時を迎えているストライカーがいる。
現在、得点ランキング8位に位置し、日本人選手では呉屋大翔に次ぐ2位となる16ゴールをマークしている京都サンガのFW一美和成だ。
2016年に熊本の大津高校からガンバ大阪に加入し、今年から京都に育成型期限付き移籍でやってきた。これまでG大阪でのトップチームでの出場試合は3年目に記録した9試合のみ。トップチームでは1ゴールも挙げていなかった男が、新天地でゴール量産体制に入っている。
この変化はなぜ起こったのか。彼に話を聞くと、G大阪で過ごした3年間と新天地での覚悟が裏付けとなっていた。
CBからの突然のコンバート。
もともと一美はCBの選手だった。当時からずば抜けた身体能力を持ち、180cmの高さとスピード、そしてフィジカルの強さと強烈なキックを武器に、1年生の時からG大阪に進んだ同級生の野田裕喜(モンテディオ山形へ育成型期限付き移籍中)とともにDFラインでコンビを組んでいた。だが、高2のインターハイ予選2週間前。平岡和徳監督(現・大津高校サッカー部総監督)に「明日からFWで頼む」といきなりコンバートを通告された。
「最初は本当にびっくりしました。でも、パワープレーで上がって行った時に経験をしていたので、違和感なくやれました。その予選で点も取れて、FWの楽しさにはまっていきました。CBと比べて自由に動けますし、ヒーローにもなれるので、CBに戻りたいと思わなかった」
平岡監督は彼の身体能力の高さに目をつけた。「スケールの大きなストライカーになる」と入学時からFWに仕立てるプランを持っていたという。その狙い通り、一美はフィジカルを活かしたポストプレーと、CBで鍛えられたヘッド、そして強烈なシュートを武器に、大津のエースとしてメキメキと頭角を現した。その能力が認められ、G大阪にFWとして入団。FW転身後、わずか1年半で日本有数のビッグクラブに加わったのだ。
だが、プロでは大きな壁にぶち当たった。