太田雄貴のEnjoy FencingBACK NUMBER
新刊『CHANGE』はビジネス書!?
太田雄貴会長、“3度目”の日本選手権。
text by
太田雄貴Yuki Ota
photograph byFJE
posted2019/10/20 18:00
今年の全日本選手権のポスターを撮影したのは篠山紀信さん。昨年の蜷川実花さんに続き、日本を代表するフォトグラファーの作品が大会の「看板」だ。
「空中戦」だけでなく「地上戦」も。
次に、広義のビジネスの観点からこの本を読んでいただける方。近年、スポーツ専門ではないビジネスの方も、スポーツに注目してくださることが増えました。モノだけで満足しない社会になればなるほど、スポーツがもたらす感動、瞬間的に爆発する熱狂というものに、ビジネス的観点からも惹かれる方は多いようです。
その時にたとえば、先に記したように「『空中戦』だけではなく『地上戦』をしっかり行う」といった内容は、おおいに参考になるのではないか、と自負しています。
私は現実問題、日本においてフェンシングというスポーツの広告塔的な役割も担っていますから、つねに改革を行い、そのことを外部にPRしている印象を受ける方もいると思います。
しかし、会長になって日々取り組んでいることは、ニュース化できる「空中戦」だけではありません。
すべての取り組みの前提として、最適な人事配置の再検討や責任所在の明確化など、一見地味に見える、でも非常に重要な組織改革という「地上戦」と向き合ってきました。未踏のチャレンジをするために、まずは足元から固めていこう、という意識です。
テクノロジーなどのプロジェクト。
足元を固めたからこそ、「観るスポーツ」としてのエンターテインメント化を最先端テクノロジーによって実現する「フェンシング・ビジュアライズド」の開発・実装や、外部人材を副業・兼業で登用したことなど(こちらはビズリーチとの取り組みということで仕掛けが「空中戦」的に見えましたが、実は「地上戦」の要ともいえる事業でした)、数々の効果的なプロジェクトを進めていくことができたのです。
こうした改革が進んでいく中で、日本フェンシング協会が打ち出しているフェンシングのイメージや、提示している社会的な価値に惹かれて、フェンシングへの注目が集まってきたことも実感しています。実際に大会の会場に足を運んだり、AbemaTVでの大会生配信をご覧いただいたりと、フェンシングというスポーツに興味を持ち始めてくださる方が増えてきています。