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西武が浴びたブーイングの意味は?
リーグ優勝と日本シリーズの遠さ。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKyodo News
posted2019/10/19 11:00
西武は2年連続で、リーグで優勝しながらソフトバンクに敗れて日本シリーズ出場を逃した。
メジャーはリーグ王者が上に進む。
メジャーリーグのワールドシリーズは、アメリカン・リーグ(以下ア・リーグ)とナショナル・リーグ(以下ナ・リーグ)の王者同士が戦う、真の頂上決戦である。
CS=「ポストシーズン」と同じく、(様々な意味で)多大な興行収入が見込めることが導入の最大の理由だったが、両者には決定的な違いが1つある。
それはメジャーリーグが「拡張球団」が誕生することを前提に「ポストシーズン」を導入したのに対し、日本プロ野球は球団数を据え置きにしたまま、「ポストシーズン」を導入してしまったことだ。
メジャーリーグも両リーグ10チームずつしかなかった1968年までは、プレーオフなど必要なかったので「リーグ優勝」と「ペナントレース」が直結していた(去年のナ・リーグ中地区のように、公式戦終了時に同率首位となって順位を決定する時の「1ゲーム・プレーオフ」は、163試合目の公式戦と考えられている)。
ペナントレースでリーグ王者が決まらない。
1969年から東西2地区制となったことで「東地区王者」と「西地区王者」が対決する「リーグ優勝決定シリーズ」が生まれ、「ペナントレース=公式戦」の勝者が「リーグ王者」から「地区王者」に移行した。
1994年からはさらに球団数が増えて東、中、西の3地区制となり、そこで初めて「ワイルドカード」という新しいアイディアが導入され、地区2位の中で最高勝率のチームにも「ポストシーズン」を戦う権利が与えられるようになった(同年は選手ストライキのためにプレーオフがキャンセルされたが)。
そう、メジャーリーグにおけるペナントレース=公式戦は1969年以来、「地区王者」になるためのものであり、直接的に「リーグ王者」になるためのものではない。違う言い方をすると、「リーグ王者」を決めるのが、プレーオフなのだ。
だから、メジャーリーグでは「リーグ王者」と「プレーオフ王者」という棲み分けはされず、たとえペナントレース=公式戦で優勝を逃したとしても「ワイルドカード」でプレーオフを勝ち上がって「リーグ優勝決定戦」に勝ってしまえば、そのチームは「リーグ王者」と認定されるので、日本プロ野球よりは幾らかスッキリしている。