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西武が浴びたブーイングの意味は?
リーグ優勝と日本シリーズの遠さ。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKyodo News
posted2019/10/19 11:00
西武は2年連続で、リーグで優勝しながらソフトバンクに敗れて日本シリーズ出場を逃した。
3年連続ワイルドカードが世界一に。
もちろん、文句を言う輩は世界中どこにもいるわけで、メジャーリーグでも、ペナントレース=公式戦で地区優勝を逃したワイルドカードのチームが、ワールドシリーズやそれぞれのリーグの優勝チームになってしまう度に「ペナントレースの意味がない」という声を何度となく取材現場で聞かされてきた。
たとえば2002年、両リーグの優勝決定シリーズを戦ったエンゼルスとジャイアンツ(新庄剛志外野手がいた)が共にワイルドカードのチームで、同年から3年連続でワイルドカードのチームがワールドシリーズに優勝してしまうという事態まで起こった。
当時のバド・セリグ・コミッショナーは、「今のプレーオフ形式はおかしい」という批判に対し、「今まで同様、ファンに最高のエンターテイメントを提供するため、協議していきたい」とお茶を濁すように言った。
しかし実際にオーナー会議で協議は進められ、それが2012年から始まったワイルドカード・ゲーム(地区王者と戦う前に一発勝負の勝ち抜き戦を行う方式)導入に繋がっている。
「下剋上」はやはり面白いが。
それでも2014年のワイルドカード・ゲームを勝ち抜いたジャイアンツとロイヤルズ(青木宣親外野手がいた)が両リーグの王者となってワールドシリーズを戦うなど、「想定外」のことは起きる。
今年もワイルドカード1枚目のナショナルズがブルワーズを一発勝負で下し、地区シリーズでも優勝候補の最右翼だったドジャースを3勝2敗、ナ・リーグ優勝決定シリーズでは中地区王者のカージナルスを4戦全勝で下して「リーグ優勝」を果たすという(日本風に言えば)「下剋上」が起きている。
日本でもメジャーリーグでも、「ペナントレース=公式戦」で優勝を逃したチーム(メジャーではワイルドカード、日本プロ野球では公式戦2位か3位のチーム)が、「下剋上」で王者になるというのは、とても面白い。
だが、それはプレーオフを勝ち上がったチームが「リーグ王者」となるからで、「リーグ王者」が頂上決戦の日本シリーズには出られないというのは本来、日本シリーズの存在理由を揺るがす大きな欠点だと思う。