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あのレッドディザイアと同枠同番。
秋華賞で開花したクロノジェネシス。
posted2019/10/16 07:30
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
10月13日、私は取材のためオーストラリアにいた。かの地で日本の競馬をチェック。世の中、便利になったもの。リアルタイムで日本のレースを観戦出来た。そんな中、端末の画面越しにクロノジェネシス(牝3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が秋華賞(GI、京都競馬場、芝2000メートル)を制するシーンを目にした。
クロノジェネシスは2歳だった昨年の9月、小倉競馬場の芝1800メートルの新馬戦で、北村友一騎手を背にデビューした。このレースで鞍上が持ったまま突き抜ける強い勝ち方を披露すると、続くアイビーS(東京競馬場、芝1800メートル)も連勝。勇躍、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI、阪神競馬場、芝1600メートル)に挑戦した。
ここは2番人気に支持されたが、1番人気のダノンファンタジーに半馬身及ばず2着に敗れた。
3歳になった初戦のクイーンC(GIII)を順当に制すると、桜花賞(GI、阪神競馬場、芝1600メートル)、オークス(GI、東京競馬場、芝2400メートル)の牝馬クラシック二冠に出走。クイーンSから4キロ減の434キロでの出走となった桜花賞はグランアレグリアのスピードに追い付けず、ゴール直前にはシゲルピンクダイヤにも差されて3着に敗れた。
更に2キロ減り432キロとなったオークスはカレンブーケドールを捉えられないでいるうちに新女王ラヴズオンリーユーの末脚にもあっさりとかわされ、またも3着に敗れた。
「レッドディザイアのように」
当時、管理する斉藤崇史調教師と、レース後に話した。
「GIを勝つのは難しいですね」
そう語る彼に、私は1頭の名牝の名を挙げ、言った。
「レッドディザイアのように、秋に挽回しましょう」
斉藤調教師は答えた。
「そうなるように頑張ります」
私が斉藤調教師と言葉をかわすようになったのは2010年の2月。場所はドバイだった。
この時、かの地に遠征していたのがレッドディザイアだった。松永幹夫厩舎で当時4歳のこの牝馬は、当時6歳だった女王ウオッカと共に、ドバイワールドカップ(GI)の前哨戦で3月初旬に行なわれるアルマクトゥームチャレンジラウンドIII(当時GII、現GI)に出走した。