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渋い血統でも牡馬顔負けの強靭さ。
クロノジェネシスが秋華賞制覇!
posted2019/10/15 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
どんな舞台でも高いレベルで安定した走りを見せる、強靱な新女王が誕生した。
3歳牝馬三冠を締めくくる第24回秋華賞(10月13日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)を、北村友一が騎乗する4番人気のクロノジェネシス(父バゴ、栗東・斉藤崇史厩舎、ノーザンファーム生産)が優勝。昨年の阪神ジュベナイルフィリーズで2着、今春の桜花賞とオークスで3着に惜敗した無念を晴らし、嬉しいGI初制覇を遂げた。
桜花賞馬グランアレグリアもオークス馬ラヴズオンリーユーも不在。1番人気に支持されたのは、昨年の2歳女王ダノンファンタジーだった。トライアルのローズステークスをレコードで完勝。GI2勝目が期待されたが、8着に終わった。4コーナーを逆手前の左手前で回っていたのは、稍重発表ながら力のいる道悪馬場で消耗したからか。苦しそうだった直線の走りからして、距離もマイルぐらいがベストなのかもしれない。
1頭だけ牡馬が混じっている?
対照的に、1頭だけ牡馬が混じっているのではないかと思わされるほどの強さを見せたのがクロノジェネシスだった。
スタートしてから北村は、前に行くよう追っつけ気味に促した。そして、ダノンファンタジーを2馬身ほど後ろからマークする絶好のポジションを確保し、手綱を抑えた。すると、クロノジェネシスは、鞍上の指示を素直に受け入れ折り合った。走る牝馬ほどメンタル面が過敏で、一度スイッチが入ったら制御不能な勢いで突っ走ろうとすることがよくあるのだが、この馬はマシーンのようにコントロール性が高い。
抜群の手応えで3、4コーナーを回り、前を射程に入れてスパートした。前の馬を楽にかわし、さらに、内から馬体を併せようとしてきたカレンブーケドールを寄せつけず、余裕を持って2馬身突き放した。