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台風通過後の鈴鹿でメルセデスV6。
図抜けた現場スタッフの信頼関係。
posted2019/10/15 12:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
台風19号の接近にともなう悪天候のため、土曜日のイベントがすべて中止となった今年の日本GP。予選は日曜日に順延され、予選とレースを1日で開催するワンデー・イベントとなった。
ワンデー・イベントは大型のハリケーン「パトリシア」の影響を受けた2015年のアメリカGP以来、4年ぶりのことである。
ただし、4年前は土曜日にフリー走行が行われた後に予選が延期されたのに対して、今年の日本GPは金曜日の時点で予選延期が決定。さらに今回は台風が最接近する土曜日にサーキットを閉鎖したため、チームスタッフがサーキットでマシンを準備する作業がまったくできない中で、日曜日を迎えた。
現在のF1はシミュレーター技術が発達しており、サーキット以外、例えばヨーロッパにある各チームのファクトリーでも日夜、マシンのセッティングが行われている。
しかし、そのシミュレーターの技術を生かしてセットアップされたマシンを実際に調整するのは現場のスタッフであり、運転するのはドライバーである。そして、今回のようにスケジュール変更という緊急事態には、現場スタッフの意思の疎通がいつも以上に重要となる。
フェラーリがフロントロウ独占も。
4年前のアメリカGPを制したのはメルセデス。その強さは、今年の日本GPでも変わらなかった。
日曜日の午前10時から開始された予選でフロントロウを独占したのは、フェラーリだった。3番手と4番手に終わったメルセデスだが、チーフ・レースストラテジストのジェームス・バレスは、レースでは勝算があると信じていた。
「台風によって路面のラバーが流し落とされ、日曜日のレースはいつもよりタイヤに厳しくなることが予想されたため、われわれはいつも以上にレースでのロングランに主眼を置いたセットアップを考えていたんだ。予選でフェラーリに先行されたものの、2列目からのスタートなら逆転は可能だ、と」(バレス)