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W杯、五輪後のブラジルサッカー界。
ベテランが続々帰国した理由とは?
text by
エリック・フロジオEric Frosio
photograph byFacebook Sao Paulo FC
posted2019/10/15 08:00
ブラジルを離れてから17年。世界的に有名なブラジル人のヒーロー、ダニエウ・アウベスはサンパウロFCでのプレーを選んだ。
クラブの経営危機が深刻に……。
「いい時代だった」と、ラジオCBNのカルロス・エドゥアルド・エボリは懐古する。
「どのクラブもまだ選手を買う財政的な余裕があった。今、同じことができるのは3つか4つのクラブだけだ。幾つかのクラブが経済危機を脱したのはいいことだが、大多数が今もレッドゾーンに留まっている」
深刻さは半端ない。ボタフォゴの2018年における総負債額は1億4600万ユーロに達し、1億3300万ユーロのアトレチコ・ミネイロ、1億700万ユーロのバスコ・ダ・ガマがワースト3を形成している。クルゼイロ(1億200万ユーロ)やコリンチャンス(9800万ユーロ)のような由緒あるクラブも危機に苛まれている。
そうした状況では、選手が給料の未払いに苦しんでいるのも驚くに当たらない。
ブラジル下部リーグであるセリエB所属のフィゲイレンセでは、遅れているサラリーの支払いを求めて選手たちが試合のボイコットを宣言したのだった。
多額の支出と多額の収入で経営をフル回転。
フラメンゴやパルメイラスといったビッグクラブも状況は決して芳しくはない。
前者は選手の売却(4500万ユーロでビニシウス・ジュニオールをレアル・マドリー、3500万ユーロでルーカス・パケタをACミランに移籍)で利益をあげ、後者はスポンサー(「クレフィサ」社=著名な信販会社)に頼りながら、何とか選手獲得費用を捻出している。
どちらも累積負債は9000万ユーロにのぼるが、収入も1億5600万ユーロ(パルメイラス)と1億2800万ユーロ(フラメンゴ)をあげることで、ブラジルで最も裕福なクラブの地位を維持しているのであった。
だが、いったいどうやってスター選手たちに月20万ユーロものサラリーを支払うというのか。
フラメンゴはその額をマリオ・バロテッリに提示したが、バロテッリが最終的にサインしたのはブレシアだった。