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鎌田大地の才能に地元ファンも注目。
フランクフルトでの変身ぶりとは。
posted2019/10/14 11:40
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Uniphoto Press
フランクフルトは天気の悪い日が増えてきました。10月に入ってからは気温も一桁台が続いていて、街の方々も冬仕様の服装が目立ちます。木々はまだ紅葉していないのですが、一気に秋が通り過ぎていったような感じです。
そう言えば、最近僕の住むアパートメントの大家さんを見かけないなと思っていたら、1カ月くらいバカンスに行っていたようです。
「あら? 言ったじゃない。長期で旅行するって。それよりも、この前アイントラハトの試合を観ていたら、ヤパーナー(日本人)がひとり増えているじゃない。男前のマコトと、もうひとりマコトより若そうだけど、なんだかスポーツが苦手そうな痩せっぽちの子よ。あの子、ちゃんとご飯食べているのかしら?」
「あぁ、その選手は鎌田大地という若者です。テレビ越しだとひ弱に見えますが、身長は180cmあるんですよ。体重も72kgなので、それなりかと」
「180cmなんて、ドイツなら女の子でもいっぱいいるわよ。あなた、今度彼に会ったら『ちゃんとご飯食べなさい』って伝えておいて」
セリエAへの移籍話もあったが。
大家さんに心配された鎌田ですが、今シーズンの彼には躍進の匂いが漂っています。今の鎌田は、間違いなくアイントラハトの中心選手として捉えられています。
昨季はレンタル先のシント・トロイデンで公式戦16ゴール9アシストをマーク。実績を積み上げ、所属クラブへカムバックしました。ただ、今季始動からプレキャンプまではアドル・ヒュッター監督からの評価が依然として高まらず、セリエA・ジェノアへの移籍などが取り沙汰されていました。
本人もカルチョの国で奮起するつもりだったようですが、アイントラハトには幾つかの不確定要素がありました。それは昨季、猛威を振るったルカ・ヨビッチ、セバスチャン・アレ、アンテ・レビッチという“マジカル・トライアングル”が相次いで移籍してしまうかもしれなかったからです。