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院生時代に114連勝! 驚異の13歳、
囲碁・福岡航太朗初段に刮目せよ。
text by
内藤由起子Yukiko Naito
photograph byYukiko Naito
posted2019/10/11 08:00
まだあどけなさが残る13歳の福岡初段。十代のうちにタイトル戦線に絡んでくることが予想される。
9歳で単身、韓国留学へ。
現在、30歳くらいまでの若手棋士が、期間の長短はあれ、韓国に留学して囲碁を勉強しプロ入りするのがトレンドだ。
仲邑菫も韓国で修業し、大きくスキルアップし、プロ入りを決めている。
韓国では宿泊はもちろん、食事や洗濯の世話もしてもらえる囲碁道場がいくつもある。朝から晩まで囲碁漬けの生活が送れるのだ。
日本でも師匠宅で内弟子生活を送ってプロになるというコースは、江戸時代から続いていた。10年ほど前までは、タイトルホルダーは皆、内弟子経験者だった。
しかし現在は、住宅事情などから内弟子を取る棋士がほとんどいなくなっている。
道場の仲間が韓国留学をしているのを見て、福岡も行きたかったのだが、家庭の経済事情を心配し、言い出せなかったという。他の子の韓国留学に親が気づき、福岡も気持を表明することができた。
9歳、小学4年で単身、韓国に渡った。
一番怖い敵は自分自身。
親がついてきたのは羽田空港まで。ビザの関係で、3カ月以内で帰国し、囲碁の大会に出場し、また渡韓するということを繰り返した。
韓国・陽川道場では朝6時起床。順番にシャワーを浴び、2時間勉強して朝食。皆で車に乗って道場に移動し、朝9時から夜9時半まで碁の勉強や対局。寮に戻っても夜11時半まで勉強した。
「優しい人ばかりでした。韓国語は真似しているうちに3カ月でだいたい理解し、しゃべれるようになりました。寮の食事が美味しくなかったのですが、我慢して食べました」
小学5年のときは、上から2番目のクラスに安定して在籍できるくらい実力がついてきた。最上位クラスは余裕でプロになれるほどのレベルだ。
支えは、洪清泉から送られた「対局前のきもちの作り方」。気持で負けない、一番怖い敵は自分自身であることを知る、などが書かれていた。
もうひとつは、親が送ってくれる一流アスリートが生活やメンタルなどを語っている本や雑誌。
これらのおかげで気持を強く持って、日々を送ることができた。