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院生時代に114連勝! 驚異の13歳、
囲碁・福岡航太朗初段に刮目せよ。
text by
内藤由起子Yukiko Naito
photograph byYukiko Naito
posted2019/10/11 08:00
まだあどけなさが残る13歳の福岡初段。十代のうちにタイトル戦線に絡んでくることが予想される。
親に「やめたら?」と言われた。
小学5年で「こども棋聖戦高学年の部」「ジュニア本因坊」で優勝。
相応の実力をつけ、小学5、6年と2年連続「外来」(院生以外でプロ試験を受ける人のこと)資格で受験するが、2度とも予選を突破することができなかった。
福岡は「終わった。囲碁を続けられるのだろうか」と思ったという。親に「やめたら?」と言われたからだ。
韓国留学までさせてくれた親の気持は痛いほどわかる。
親としても、韓国で囲碁漬けの生活を送っているのに、結果が出せないのであれば、今なら他の道に進めると思ったのだろう。
親の思いはプレッシャーだったが、ここまで来たら戻れない。
残り6局を全勝して、プロ入り。
中学1年、日本で院生になることを決意した。一番下のEクラスに入り、ここから快進撃が始まる。
「Cクラスまでは負けられないと思いました。Bクラスは洪道場で打つと負ける子が在籍していたので、全勝するのは難しい」
結局、Bクラスの4局目、半目(最小差)で負けて、連勝は114でストップした。
「(周りから)全然負けてないねーとか言われていたので、連勝が止まって安心感もありました。1回負けておけばあとは何も言われなくなるだろうから」
黒星を喫したものの、Bクラスで1位となり、Aクラスまで登り詰めた。
いよいよプロ試験。採用は上位2名だけ。16人総当たり戦で、2カ月間にわたる長丁場だ。
しかし9局までに4敗を喫してしまう。これ以上負けたらプロ入りは絶望だ。
「親はめっちゃ怒って。意地を見せなさいって。あとすべて勝たないとプロになる道はない」と奮起。残り6局を全勝で駆け抜け、見事プロ入りを果たしたのだ。