eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
世界最強の格闘ゲーマーはどんな人?
ボンちゃんが語る仕事論と結婚観。
posted2019/11/04 11:40
text by
八木葱Negi Yagi
photograph by
Hirofumi Kamaya
数千人が参加する巨大トーナメントを勝ち上がり、最後の1人になる。
それが格闘ゲームの世界で最も名誉あるタイトル「Evolution」、通称EVOを手にする条件だ。
今年も世界中から2000人近いプレイヤーが集まった『ストリートファイター』部門で、無敗で頂点に立ったのがRed Bull所属の日本人プロゲーマー、ボンちゃんだ。
つまり、今世界で格闘ゲームが強い何人かの中で、限りなく先頭に近い位置を走るプレイヤーである。
高橋正人という本名も公表しているが、ボンちゃんという名前の方が圧倒的に“しっくり来る”のでそう呼ばせてもらいたい(高は実際ははしごだか)。
彼は現在のeスポーツ、とりわけ格闘ゲームシーンがどうなっているかを理解する格好の手がかりであると同時に、ゲーマーという人種のイメージを再設定する人物としても最適な存在である。
働き始めた麻雀屋さんでの出会い。
ボンちゃんが格闘ゲームを本格的に始めたのは2009年、22歳の頃。きっかけはさらに2005年に遡る。運命は、意外なところで待っていた。
「小さい頃からポケモンとかは好きだったし、ゲームセンターにもちょくちょく行ってました。まぁ普通のゲームっ子ですね。のめり込んだきっかけは、18歳で働き始めた麻雀屋さんにウメさんと豊田がいたこと。最初はただの同僚でしたけど、彼らに引っ張られる形で仕事終わりにゲーセンに通うようになって、本気で練習するようになりました」
ウメさんとは、後に日本人初のプロ格闘ゲーマーになる梅原大吾。豊田とは、現在ボンちゃんが所属する事務所TOPANGAの社長・豊田風佑を指す。日本のeスポーツを引っ張る第一人者たちが同じ場所に集合していたことになる。
「のめり込んだ、とは言っても当時はプロゲーマーっていう職業自体ありませんでしたからね。それで生活しようなんて考えたこともなかったです。2010年にウメさんがプロになるって聞いた時も『それ大丈夫なの?』っていう感じで(笑)」