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日本のクラブ初のアジア王座獲得。
A東京の成長がBリーグを強くする。
text by
小永吉陽子Yoko Konagayoshi
photograph byALVARK TOKYO
posted2019/10/04 11:30
ワールドカップでの戦いを終えて合流した田中大貴。アレックス・カークに次いでチーム2位となる平均28.7分の出場で優勝に貢献した。
馬場の移籍は痛手だがハッピー。
「私たちのチームは1人の選手に頼らないバスケットを目指しています。それでも、抜けた穴を埋めるのが難しい選手は存在する。その1人が馬場雄大です。彼は大学時代から私たちのチームに来て、2年かけてインターナショナルな選手に育ちました。
正直に言うと、雄大が今年に抜けることは想定していなくて、抜けるのは来年だと思っていた。夏の終わりに彼を失ったので、そこからいい補強ができなかったことは痛手です。けれどNBAの挑戦は雄大にとっても、日本にとってもハッピーなことです。
NBAというのは日本のような生やさしい環境ではないということは彼にたくさん伝えている。キャンプからして一つのスポットを奪い合う競争が激しいから、情報を知ることと準備が大切だと送り出したところ、彼は少し早めに現地に行って準備を始めた。そういう姿勢を持っている選手なので頑張ってほしいし、応援しています」
馬場雄大はいないが、それでも強いことを示したA東京。長いシーズンを思えば、やはり代表選手を多く抱えるコンディションとの戦いになるだろう。
ただBリーグにとってよかったのは、A東京に挑むことは、アジア王者を倒すことにもつながることだ。そうして各チームが向かってきた時こそ、A東京には「僕らはアジアのいろんなチームとやり合ってアジャストすることを学んだ」(田中)という対応力を発揮してもらいたい。
日本のバスケには策を仕掛け合って対応力や判断力を高めることが必要なのは、今夏のワールドカップでも痛感したことだ。一段とパワーアップした王者A東京を中心に、さらに成長していかなくてはならない4年目のBリーグが幕を明けた。