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ディープ&武豊にオルフェーヴル。
凱旋門賞、日本馬の足跡と悲願。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2019/10/04 07:00

ディープ&武豊にオルフェーヴル。凱旋門賞、日本馬の足跡と悲願。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

世界最強の女王、エネイブル。前走のヨークシャーオークスで10個めとなるGIタイトルを獲得した。

キセキなど日本勢3頭の状態は?

 栄冠を掴むためにこの最強牝馬の壁を越えないといけないのが、日本の3頭。すなわちキセキ(牡5歳、栗東・角居勝彦厩舎)であり、フィエールマン(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎)であり、ブラストワンピース(牡4歳、美浦・大竹正博厩舎)だ。

 キセキは前哨戦のフォワ賞(GII)に挑み4頭立ての3着に敗れた。データ的にはかなり厳しい立場となった感は否めないが、そこはドバイワールドC制覇やメルボルンCのワンツーフィニッシュなど、数々のドラマを世界中で演出してきた角居調教師の手腕で、奇跡的な巻き返しを期待したい。

 また、フィエールマンとブラストワンピースはともに前哨戦として札幌記念(GII)に出走。それぞれ3、1着だったが、内容は共に良く、次に期待をいだかせるレースぶりであった。

 ただ、掴み辛いのは札幌記念を前哨戦とした例が過去にないこと。また、フランスのビッグレースに臨むのにイギリスのニューマーケットを基地としたのも珍しいケースである。

 過去には1998年にモーリス・ド・ギース賞(GI)を優勝したシーキングザパール(栗東・森秀行厩舎)がニューマーケットに入厩して仕上げられた例はあるが、凱旋門賞を目標とする日本馬にとっては初めての形。もしこれが成功するようなら今後もこの形を踏襲する陣営が増えるだろう。そういう意味ではモデルケースとなるのかも知れない。

 イギリスの調教馬ならごく当たり前で何も不自然な形ではないのだが、果たして日本から長距離輸送される馬が、あえてレース直前に再度輸送しなくてはいけない場所に滞在する点がどう出るのか。今後を占う意味でも、彼らのパフォーマンスには注目したい。

武豊の参戦も急きょ決まった。

 また、レースまでカウントダウンが始まる中で決まったのが武豊騎手の参戦だ。

 当初、ディアヌ賞(GI)に出走したアマレナでの挑戦を目指したが、同馬は故障によりリタイア。すると今度はアイルランドの伯楽A・オブライエン厩舎のブルームの騎乗機会を得た。

 ところが残念なことに同馬も態勢が整わず回避。今年は参戦を断念しなくてはならないかと思われたが、ここに来てフランスの名調教師であるジャン・クロード・ルジェ調教師から声がかかった。

【次ページ】 世間の評価を覆す騎乗を期待して。

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