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ラグビーを断念し、再びハードルへ。
寺田明日香が取り戻した“新鮮さ”。

posted2019/09/29 11:30

 
ラグビーを断念し、再びハードルへ。寺田明日香が取り戻した“新鮮さ”。<Number Web> photograph by MATSUO.K/AFLO SPORT

約6年のブランクを経て、29歳で迎える今大会は10年ぶりの世界選手権出場となる。

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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MATSUO.K/AFLO SPORT

 9月27日、陸上の世界選手権が開幕した。舞台は中東カタールの首都・ドーハ。酷暑が予想される今大会は、通常とは異なる変則的なスケジュールでの実施となる。

 進化著しい男子短距離や世界上位に肉薄するフィールドの種目など、楽しみな試合も少なくないし、注目すべき選手も多い。

 その1人が、10月5日に予選、その翌日に準決勝と決勝が行われる女子100mハードルに出場する寺田明日香である。

 経歴だけ見れば、異色のアスリートと言ってよいかもしれない。一度引退し、結婚と出産を経た。そして他の競技に打ち込む時期を過ごしたあと、6年ぶりに陸上競技に戻っての、日本代表選出である。

五輪出場叶わず、突然の引退。

 ただ選ばれただけではない。復帰シーズンとなった今年、29歳にして日本新記録を樹立しての代表である。

 そこには、いくつもの標となるべき点がある。

 北海道札幌市に生まれた寺田は、小学生の頃から全国大会に出場して好成績をおさめるなど早くから将来を嘱望される存在だった。

 高校入学後、100mハードルを専門とするようになった寺田に広く注目が集まったのは、卒業して社会人になった1年目、2008年のことだ。日本選手権で史上最年少優勝を果たしたのである。その後、2010年まで3連覇を果たし、2009年世界選手権に出場したのをはじめ、数々の国際大会で活躍してきた。

 だが2012年ロンドン五輪出場はかなわず、世界選手権にも出られずにいた。

 すると翌年、引退を発表。23歳で競技から退くという決断は、周囲にとっては唐突な面もあり、惜しむ声も少なくなかった。まだ先は長く続いていくように思われていた。

 ただ寺田自身は、心身ともに消耗の一途にあった。それもまた、パフォーマンスの低下を引き起こし、引退につながっていただろう。

【次ページ】 出産を経て、7人制ラグビーへ。

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