プロ野球PRESSBACK NUMBER
森友哉の成長こそ、西武V2の原動力。
辻監督が願った「打てて守れる捕手」。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/09/25 12:00
パ・リーグ連覇を果たした西武。優勝の瞬間、キャッチャー森はマウンドの増田に駆け寄り、喜びを爆発させた。
やんちゃに見えて、とても優しい。
9月3日からは先発投手が3試合連続でクオリティスタート。18日、19日には2試合連続完封リレーで勝利するなど、バッテリーの力が首位ソフトバンクを追い上げる原動力となった。
「やんちゃに見えて、とても気の優しい選手」と周囲は森を評する。実際、一昨年までは他人の評価を気にし、自分への批判記事を見ると落ち込んでいたと森も認めている。
「でも、それを見て落ち込むより、『見返してやろう』と思うことにしました。キャッチャーとしてしっかりと結果を残して、いろいろと言われない選手になろうと思うようになりました」(森)
“プロでの経験不足”という課題を秋元バッテリーコーチと二人三脚で乗り越えてきた。侍ジャパンに選ばれた昨年の秋には、代表戦の最中、森のほうから秋元コーチに連絡を取り、助言を求めた。
「確かチームが秋季キャンプ中のことでしたね。宮崎までLINEが来て……。対戦したことのないセ・リーグの投手とバッテリーを組むために、ちょっと悩んだんだと思います。そうやって本当にどんな環境でも、投手のことを真剣に考えていました」(秋元コーチ)
「友哉には理由がちゃんとある」
たとえば、相手打線を抑えて勝てばピッチャーが「ナイスピッチング」と褒められる。キャッチャーが褒め称えられる試合は、本当にわずかだ。秋元コーチは続ける。
「基本的には勝利はピッチャーのおかげで、打たれたらキャッチャーの責任。でも、チームの内側で見ている人間には、打たれた原因がわかる。決して森の責任で打たれたわけではないときもある。そういうときは、本人にちゃんと伝えて、『攻め方としてはよかったよ』と評価しますね。
『あそこに行っちゃいけなかった』というのは、これだけ試合に出ていれば友哉本人がいちばんよくわかりますよ。『どう考えてあのボールを要求したの?』とは聞きますけど、そうやって聞いても、友哉には理由がちゃんとある。その繰り返しの中で、打たれる確率をいかに減らしていくかと努力することが大事。その地道な努力を続けてきたおかげで、今の友哉がいるんだと思います」