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森友哉の成長こそ、西武V2の原動力。
辻監督が願った「打てて守れる捕手」。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/09/25 12:00
パ・リーグ連覇を果たした西武。優勝の瞬間、キャッチャー森はマウンドの増田に駆け寄り、喜びを爆発させた。
「守りと打撃は別のスポーツだと」
胴上げ投手となった増田も言う。
「投手が打ち込まれた時期も、友哉がいろいろと気を配って、できるだけ投手陣とコミュニケーションを取ろうとしてくれました。そのおかげで、野手と投手の信頼関係が崩れることは一度もなかったですね」
たとえ大量失点を許しても、切り替え、そのたびに再び前を向き、連敗を食い止めた。夏場以降、大型連敗がなかったこともライオンズが首位に追いつけた理由でもある。
「正直しんどかったです。使い続けていただいたので、結果を出したいと思ってきました。守りと打撃(の両方で好結果を出す秘訣)は、別のスポーツだと思うようにして、切り替えることができたから。今シーズンはその切り替えがしっかりできたんじゃないかと思います」(森)
170cmの小さな体でホームとチームを守ってきた。
想像をはるかに上回ってくる選手。
秋元コーチに、同じキャッチャーというポジションを経験した者として「キャッチャーが首位打者を目指す難しさ」について聞いた。
「僕なんか2割しか打てなかった選手だから、想像もつかないよね(笑)。過去には首位打者を獲得したすごいキャッチャーがいたけれど、友哉はあの若さで、実質レギュラー2年目のシーズンで首位打者を争えたのはすごいことです。シーズン中、守備面で精神的に参って、打てなくなる時期が来るかなと心配していたけど、彼はこちらの想像をはるかに上回ってくる。バッティングに関しては『すごいな』という言葉しか出てこないですね」
首位打者の行方はまだわからないが、今シーズンを戦い終えた森が、また打者としても捕手としてもひと回り成長していることは間違いない。