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森友哉の成長こそ、西武V2の原動力。
辻監督が願った「打てて守れる捕手」。

posted2019/09/25 12:00

 
森友哉の成長こそ、西武V2の原動力。辻監督が願った「打てて守れる捕手」。<Number Web> photograph by Kyodo News

パ・リーグ連覇を果たした西武。優勝の瞬間、キャッチャー森はマウンドの増田に駆け寄り、喜びを爆発させた。

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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 打者のバットが空を切り、増田達至が投じたストレートがミットに吸い込まれた直後、キャッチャー・森友哉の喜びが爆発した。そのまま増田に全速力で駆け寄り、マウンド上で抱擁。満面の笑みがこぼれた。

 今シーズン、攻守に渡りチームを率いてきた正捕手が、やっと24歳という若さにふさわしい、あどけなさを取り戻した瞬間だった。

 9月24日、ZOZOマリンスタジアムで行われた埼玉西武ライオンズ対千葉ロッテマリーンズ戦で西武が勝利を収め、2年連続のリーグ優勝を決めた。首位を守り続けた昨年のリーグ優勝とは違い、最大8.5ゲーム差をひっくり返しての連覇である。

 ここまで135試合に出場したキャッチャーの森は、打線でもチームをけん引してきた。優勝決定日の打率、3割2分9厘はリーグ1位。残り試合を考えると、野村克也(南海/1965年)、古田敦也(ヤクルト/1991年)、阿部慎之助(巨人/2012年)に続く、捕手として4人目となる首位打者獲得も夢ではない。

 昨シーズンは「捕手として育てたい」という辻発彦監督の方針のもと、プロ5年間で最も多い試合でマスクをかぶった。

開幕3連敗からのスタート。

 辻監督は振り返る。

「友哉にはどうしても正捕手になってほしくて、昨シーズンはある程度、辛抱をして起用しました。『自分の要求と逆のコースにボールが来て打たれても、自分の責任だと受け止めてくれるキャッチャー』になってほしいんです。キャッチャーというのは、それくらいの覚悟で務めるポジション。ピッチャーは孤独です。必死に1人で戦っているんだから、その思いを汲んで、引っ張っていける選手でなければ正捕手にはふさわしくない。だから森にも高い要求をしました」

 その思い通り、2019年シーズンも開幕から捕手として試合に出場。しかし、チームは開幕戦から5失点、6失点、3失点でソフトバンク相手に3連敗を喫す。その後も多和田真三郎の不調や榎田大樹の離脱もあり、シーズン通じてパ・リーグワーストの防御率に苦しんだ。

 秋元宏作一軍バッテリーコーチは振り返る。

「シーズン最初のうちはリードについて叩かれたり、評論家の方から厳しい指摘をされたりしましたが、終盤に来て本当に成長していると思います。もちろん、そこにはピッチャーのがんばりも関わっているのですが、終盤は1イニングに大量失点する試合が減りました。友哉が本当に頭を使いながらやってきたからこそ、終盤、こういう結果につながったんだと思います」

【次ページ】 やんちゃに見えて、とても優しい。

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