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大坂なおみ、喧騒から1年後の凱旋。
「大阪で勝つのイイんじゃないかな」
posted2019/09/20 11:50
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
「大阪で大坂フィーバー!」と書くつもりだったが、期待したほどでも、恐れたほどでもない。
大坂なおみが生まれ故郷である大阪でプレーするのは5年ぶり。東レパンパシフィック・オープンは東京で開催される大会だが、会場の有明コロシアムが来年のオリンピックに備えた改修工事中のため、今年は大阪市の靭テニスセンターでの開催だ。
おかげで大坂の<帰省>が叶ったのだが、初戦となる2回戦が行なわれた水曜日の練習には300人近いファンが詰めかけたものの、前の人の頭しか見えないというような状況ではなかった。
練習時間とコートのスケジュールを告知していたわけではないからかもしれないが、夕方に行なわれた実際の試合でも5000人を収容するセンターコートは埋まらなかった。もちろん、大坂でなければ平日にこれだけの人が集まらないことも確かなのだが……。
記者会見で、「今朝食べたコンビニのおにぎりの具は何でしたか」とか「カツ丼は食べましたか」とか、毎回の「ファンに向けてのメッセージを日本語でお願いします」といったリクエストも出ない。
好きなお好み焼きの具とか、家にたこ焼きプレートはあるかとか、知っている関西弁は? とか、そういった大阪色満載の質問のオンパレードを聞く覚悟はできていたので、ちょっと拍子抜けするくらいだ。
喧騒の中で決勝に進んだ1年前。
全米オープン制覇直後の凱旋となった昨年のこの時期とは明らかに違う。意外に大阪の人々のほうが控えめなのか、なおみ人気もやや下火になったのか――。ただ、騒がれ方のレベルとか地域性とかファンの性質とかそういったものは、自分が感じるプレッシャーとは無関係だと大坂は言う。
現に1年前はあの喧騒の中で、優勝はできなくとも決勝まで勝ち進んでみせた。
「プレッシャーはもちろんあります。でもそれは私自身のポジションからくるものであって、私がどこにいるかというロケーションの問題じゃない」
こう話したのは、2回戦で世界ランク181位のビクトリヤ・トモバに7-5、6-3で勝利したあとだった。