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大坂なおみ、喧騒から1年後の凱旋。
「大阪で勝つのイイんじゃないかな」
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2019/09/20 11:50
和やかな表情で会見に臨んだ大坂なおみ。1年前の全米制覇時とは少し違う雰囲気を漂わせる。
「大阪で勝つのはなんかイイ」
ジェットコースターのような1年あまりを、振り落とされまいとがんばってきた21歳は静かに語った。
「私はもうナンバーワンでもないし、ここでタイトルをディフェンドする立場でもない。ただ、ここでどうしても勝ちたい。私が大阪で勝つっていうのはなんかイイんじゃないかなと思うし」
生まれた町だから。名前も同じだから。
そう解釈していいはずだが、初戦のテニスは<プレミア>にカテゴライズされるこの大会で優勝するレベルではなかった。立ち上がりが悪く、2度のブレークを許して0-3と一気にリードを許した。
持ち味のパワーを発揮して逆転したが、試合を通してファーストサーブの確率が低く、おかしたダブルフォルトは6本。ウィナーも多いがミスも多いという粗いテニスだったが、ただこの相手に勝つには十分だったという内容だ。
「でも私はパワープレーヤーだから」
「立ち上がりはただちょっと調子が出なかっただけ。でも私はパワープレーヤーだから、試合の主導権を握るのは自分だという思いがあった。アンフォーストエラーの数を減らせば勝てるということはわかっていた」
やるべきテニスはわかっている。ただこのままではいけない。
準々決勝の相手は3連敗中のユリア・プティンセバと決まった。世界ランキング36位の小柄なプレーヤーだが、ガッツあふれるファイターで、しぶとい上に頭脳派で技巧派。
まずはこの難敵を突破し、週末は多少ベタでも「大阪で大坂フィーバー!」と盛り上がるのがなんかイイんじゃないかと思うが、さて実現するだろうか。